SONY FMステレオチューナー ST-5150D の修理 2008.11.8

     最近になって、過去に一度所有したことのある古いジャンクのオーディオ機器を、ヤフーオークションにて集め出したわけだが、次なる狙いは、SONYのFMステレオチューナー ST-5150D だ。手頃な商品が出品されるのを待っていたところ、運良く通電確認のみのジャンク品が出品され入手することができた。

     SONY の FMステレオチューナー ST-5150D は、1975年発売(33年経過)の製品だ。この当時、FM放送は貴重な音楽ソースであり、PIONEERのレシーバーアンプSX-414でFM放送を楽しんでいたが、TRIOのプリメインアンプKA-7300を購入したことにより、本格的なFMチューナーが欲しくなりだした。

     当時、チューナーといえば TRIOで、高品質のチューナーを狙うならTRIOであったが、何しろTRIOのチューナーは高嶺の花であり、SONY 辺りの製品を探していた所、通勤途中にある質屋の店頭に、質流れのST-5150Dが飾ってあるのを発見。良品中古で値段も手頃であったことから思わず購入した。このST-5150Dは、特に不満も無くずっと使用していたがKA-7300の廃棄とともに廃棄してしまった。


    ■ジャンクのST-5150D

     さて、今回入手したジャンクのST-5150D だが、使用されなくなってから環境の悪い所にでも放置されていたのか、経年だけでは説明できない程の汚れや錆びが発生していた。分解・清掃が必要だ。

     受信確認を行ってみたところ、シグナルメータ、同調メータの動きにおかしなところは見受けられない。ステレオの受信表示も正常だ。ランプ類の球切れも無い。KA-7300のTUNER端子に接続して音声出力を確認すると綺麗なステレオ音が聴こえた。どこといって不具合はなさそうだ。

     今回は、清掃のみで済みそうだと楽観した瞬間、バリバリという雑音が鳴り出した。暫くすると聴くに耐えない程の大きさになる。あわててチューナーの電源を落とす。暫く待ってから、再度確認すると同じ症状を示す。電源投入直後は、まともだが、暫くするとバリバリとノイズが出る。トランジスタ不良かも知れないが、経年からして、まずは電解コンデンサの劣化を疑って見るべきだろう。

     ケースカーバーを開けてみると密閉構造のためか内部の状態は良好であったが、TC-K65のケースカバーを空けた時と同様な匂いがする。やはり電解コンデンサの液が蒸発しているようだ。電解コンデンサは全数交換した方が良さそうだ。


    バックパネルも綺麗に洗浄した 内部は綺麗だ。軽く洗浄を行った。 電解コンデンサは全数を交換する 外した電解コンデンサ
    一般用30個
    オーディオ用4個の計34個

     ケースカバー、前面パネル、シャシー底面を外し、それぞれ中性洗剤で洗浄を行う。これで見違えるように綺麗になった。次に背面のAMアンテナを分解し、鉄製パーツについては、サンドペーパーで汚れや錆びを落とした。各部洗浄の後、基板の電解コンデンサの定格・容量を調べる。調査結果を基に、退社途中に日本橋に立ち寄り電解コンデンサを調達する。

     休日の合間に電解コンデンサの取り替えを行う。取り替え後、基板は、基板洗浄剤で洗浄しておいた。案の定、電解コンデンサを交換したことでバリバリという雑音が発生することは全く無くなった。

     30年を経ているが受信感度の低下は全く感じられず、出力される音は、やや明瞭度に欠ける気がしないでもないが、今も記憶に残るあの当時の音そのものだ。当時から明瞭度にはやや不満を感じていたと思う。

     後日、TRIOのチューナーKT-7500のジャンクを入手する。聴き比べて見るとやはりその音の差は歴然としており、このST-5150Dは、お蔵入り、当時の記念品としての価値しかないようになった。