ONKYO MD/CDミニコンポ FR-V7の修理 2008.02.04

     ジャンク品です。ヤフオクにて3,600円で落札。人気機種だけに3,000円を越えてしまいました。送料(700円でした)と消費税を考慮すると4,480円と高く付きましたが、FR-V3FR-V5に続いてV7を手に入れることが出来て同シリーズの機種が全て揃いました。

     オークション出品時の案内書きは次のとおりでした。

    ・CD読み込み不可 チューナーはOKです。
    ・傷汚れ有ります。
    たったこれだけです。MDの状態は不明です。

     早速に外観からチェックを始めました。案内書きのとおりカバー天板には引っ掻き傷があり、全体的に汚れが酷いものでした。しかしながら良く眺めて見ると、傷はカバー天板と操作パネル上部の少しのすり傷だけで、汚れを落とせば全く綺麗なものになりそうです。以外と良い品物かも判りません。

     電源を入れて動作確認に移ります。操作スィッチは特に異常は無さそうです。このコンポもFR-V3/V5同様に入力ソースは豊富です。MD/CD/TUNERの内臓音源に加えて外部音源として、LINE-1、LINE-2、TAPE、DIGITALの7音源が選択できます。またこの機種の特徴としてサブウーファ用のプリアウト端子が付いているのと、サラウンドプロセッサとの接続用のIN/OUT端子があります。LINE-1からDIGITALまで音だしの確認を行いましたが特に問題はありませんでした。TUNER(AM/FM)の受信も問題ありません。次にCDを確認しました。トレーの開閉は問題ありません。しかし商品説明のとおりCDを全く認識しません。ピックアップのレーザー低下、もしくはレンズ汚れかも知れません。レンズ清掃とピックアップの出力調整で直れば言うことないのですが。

     最後にMDの確認に移ります。MDの挿入/排出動作は良好です。メカ部分の問題は無さそうです。が、MDを全然認識しません。2台目のFR-V5を修理した時のようにMD挿入口からダストスプレーを吹いてみるとなんとかMDを認識するようになりました。MDユニットを分解してピックアップレンズの清掃が必要なようです。

     以上の調査を踏まえてカバーを開けに掛かります。中はひどい汚れですが、幸いなことに弄くった形跡はなさそうです。これまでFR-V3/V5/V7は同じパーツで構成されていると思っていたのですが、MDユニットに違いがあるようです。V3/V7のMDユニットは同じでV5だけ異なっていました。良く調べて見ると、V5のMDユニットは、DENONのMDデッキDMD-M10に組み込まれているものと同じものでした。DENONもONKYOもSHARPの同じMDユニットを使っているた訳です。スピーカー端子部分ですが、V7には、その特徴としてサブウーファ端子が組み込まれていました。メイン基板にもV7には、その特徴であるプロセッサ入出力端子がありました。外観上にも少し違いがあるようです。CDトレイの先端部分(操作パネルから突き出している部分)の形状とボリュームつまみの形状がV7だけ異なっています。少々の違いはありますが、基本構成は同じものですので分解・修理手順に違いはなさそうです。

    FR-V3
    FR-V5
    FR-V7

     全体の分解に取り掛かる前に、MDユニットだけの清掃と修理を行って見ることにしました。MDユニットを取り外し、ユニットカバーを開けて、ピックアップレンズを清掃しました。ユニット内部は以外と埃や汚れも少なく綺麗でしたが、レンズ表面は、やはり経年によりうっすらと雲っていました。ユニットを元に戻し、再度MDの動作確認を行いました。MDの認識が若干遅いように感じますが認識エラーは起こりません。再生時の音飛びも無く、選曲操作も問題ありませんでした。録音テストは、まだこの段階では行わないでおきました。

     ケース内部には、埃がたくさん溜まっていましたので、電源トランスに至るまで全てのパーツを取り外しました。基板類は、ダストスプレーと刷毛で埃を拭い、表のアルミ化粧パネル、その内側の操作パネル、ケースカバー等、水洗い可能なパーツは、全て台所用の中性洗剤を使って綺麗に洗浄しました。先にも書きましたが、このコンポ、洗ってみると以外と綺麗です。開梱した時には、一目見てその汚れに嫌気がさしたものですが、それが嘘のように綺麗になりました。これは儲け物です。

    V7にはサブウーファ端子がある
    V7のMDユニットはV3と同じ
    パーツを分解。水洗い可能なものは洗浄した。

     清掃の済んだ各パーツを、CDユニットの修理・調整が出来る段階まで仮組立を行います。CDの動作に関係の無いチューナー基板とMDユニットは取り外したままです。MDユニットに電源を供給する電源ユニットはビニールでカバーをして絶縁対策をしておきます。最後にメイン基板に操作パネルのフラットケーブルを差し込み、電源ケーブルをコンセントに差し込みます。ここで、本来なら蛍光表示管(VFD)に「00:00」の時刻表示が点滅するはずですが何も表示しません。蛍光表示管か本体の回路基板のどこかを壊してしまったようです。取り合えず、テスターでVFDのプレート(アノード)電圧、ヒーター(フィラメント)電圧を測定します。それぞれ、-30V、-22.5Vと正常です。どうやら信号回路に問題がありそうです。

     パネル側の問題か本体側の問題か切り分けをするために、FR-V5の操作パネルと入れ替えてテストして見ることにしました。操作パネルに刻印されている部品番号を調べて見ると、V5とV7では異なっていましたので、そのまま交換することにちょっと躊躇しましたが、見る限り全く同じ部品が使われているようなので思い切ってトライして見ました。結果、V7のパネルはV5で正常に表示しましたし、V5のパネルはV7では何も表示しませんでした。問題は、V7の本体基板にありそうです。それにしても不思議です。分解・清掃の段階で、うっかりと壊してしまうようなデリケートな箇所があったとは思い出せません。半田クラックでもあるかと仔細に観察しましたがおかしな所は一つも見つかりません。

     そんな時、「V5とV7ではMDユニットが異なっているのでV5ではMDユニットを取り外していてもよかったが、V7ではMDユニットを接続しないと駄目なのではないか」と思い付きました。試しにMDユニットを電源ユニットに接続して見ると、ちゃんと「00:00」と時刻を表示します。まさに拍子抜けです。あーだこーだと悩んだ事が馬鹿らしく思えてきました。気を取り直し、MDユニットにもビニールカバーをかぶせ絶縁対策を施した上でCD部分の修理にかかります。

     トレイの開閉は問題ありませんでしたのでベルト交換はしないでおきました。後で考えると経年を考慮して交換しておくべきだったかなと反省してます。ピックアップのレンズが汚れていたので清掃しました。この段階でCDの読み込みテストを行います。結果は全然駄目です。CDが回転しません。トレイにCDを載せて、トレイを閉じると、ピックアップがせり上がって来て、ピックアップからレーザー光が発せられ、その反射具合でCDの装着が確認されます。CDが装着されているとなるとモーターが廻りCDが回転を始め、TOCの読み取りが行われます。TOCが正常に読み出せると、一旦CDの回転は止まり、操作パネルに曲数、演奏時間が表示されます。CDが回転を始めないということは、ピックアップのレーザー出力が低下しているということになります。周囲を暗くしてレンズ部分を見ていると微かに赤いレーザー光が出ているのが見えます(直接覗くと失明の恐れ有りです。斜め方向から見るか、デジカメのレンズを通して液晶表示で確認するのが良い方法です)。若干の期待を込めて、FR-V5の時と同様に、出力調整用ボリュームを左に30度ほど回転させてからテストしてみると見事にCDを認識するようになりました。CD-Rも問題無く認識します。また認識速度もそこそこ速いです。ただし、このピックアップの寿命はこれで一段と縮まることだと思われます。

    仮組立してCDを調整する
    CD-Rの再生テスト中の様子

     修理にトラブルはつきものでして、この後、また災難が訪れます。CDの修理が終わり、仮組立していたパーツを元通りに組み立て直しました。ケーブルをインシロックで結束し、カバーをビス止めし、スピーカー、FMアンテナ、AMアンテナを接続して、修理後のエージングを兼ねた音出し作業に移ります。CD-Rをセットし再生を始め出した時です。1曲目の演奏が何事も無く終了し、2曲目になった時、ザザザという雑音が再生音に混じり、「やはりピックアップが駄目か」と思う間も無く、音が停止してしまいました。操作パネルの表示を見ていると、CDの再生カウントが何事も無くアップしていきます。飛び越し選曲すると、ピックアップの移動する音が聞こえ、選択した位置から読み取りをしているようです。一旦停止してCD-Rを取り出し、再度読み込ませて見ると、パネル表示上は全く問題無く再生しているように見えますが、音は何も聴こえてきません。入力をTUNERに切り替えてFMを受信してみると正常に音が出ます。それではとMDに切り替えて、MDを読み込ませようとすると、MDがローディングされません。ローディングモーターが廻らないようです。CDの音が出なく、MDのローディングも出来ない状況となりました。修理どころか壊してしまったようです。

     一体何が起きたんでしょうか。折角綺麗に仕上げた本体のカバーをまた取り外し、MDユニット周りを調査しました。色々調べて見ると、MDユニットに電源を供給している電源ユニットにある、定電圧用の3端子レギュレータのヒートシンクが全然熱くなっていません。そこで、端子の電圧を測ってみると、入力に12ボルトはありますが、出力が1ボルトしかありません。レギュレータの型番は、7805Aでした。これなら出力に5ボルトが無いと駄目です。どうやらこの3端子レギュレータが壊れてしまったようです。何が原因か知りませんが、ともかくこのレギュレータを交換しないと駄目です。MD/CD一体型のミニコンポですから、CDのデジタル出力をアナログに変換するには、コスト削減のため、MDユニットの中にあるDACを共用しているようです。そのため、レギュレータからの5ボルトが無くなりMDユニットのDACが働かなくなるとCDの再生音も聞こえなくなるというものです。またMDのローディングモーターもこの電源を使用しているのでローディングが出来なくなるということになります。

     手元の部品箱を探して見るとうまい具合に、7805Aの3端子レギュレーターが2本見つかりました。日本橋で何かの部品を購入した際についでに買っておいたものだと思います。本体についていたレギュレータには、ヒートシンクとの間に放熱グリスが塗ってありませんでしたが、交換の際には、念のためにグリスを薄く塗っておきました。レギュレータの交換で、CDの再生音も問題無く出るようになりました。MDのローディング、読み込みも出来るようになりました。レギュレータICの故障が、単なる偶発故障なのか、コンポ側に何か原因があったのか、そこは判然としませんが、今の所問題無く動作しています。このまま様子をみてみることにしました。FR-V7の修理はこれで完了です。