DENON 3連装CDデッキ UDCM-M7の修理 2010.3.22

    ■ UDCM-M7
     

     ハードオフでまたも性懲りも無くジャンク品を手に入れた。DENONの3CDチェンジャーUDCM-M7だ。値札に「再生しましたが、エラーが出ます」と書かれていた。

     この機種でエラーが出るというのは、CDの再生エラーではなくチェンジャーのメカエラーと想像される。 多分ゴムベルトの劣化によるトレイの開閉不良だろう。

     再生が出来るということであればピックアップは問題無い訳で、メカエラーを治せばまだまだ使えるということだ。

     この機種の後継機種であるUDCM-M10の修理経験が2度ある。 外形からの判断では、UDCM-M7とUDCM-M10はほぼ同じと思われる。 2度目の修理ではチェンジャーメカの分解も行ったが、その経験が活かせるはずだ。

     その時はチェンジャーメカの分解手順をきちんと写真に収めていなかったので、その反省も兼ねて 再度メカの分解に挑戦して見ることにした。

     外形はすこぶる良いジャンクだ。すぐに動作確認を行って見る。CDを3枚準備。まずは、DISC1にCDを入れて再生を行う。CDの認識も良好で再生音も良い。

     トラック若番の内周部分で時々音飛びが起こるが、これは、CDの代わりにCD-Rを使っているからかと思われる。

     DISC3にCDをセットしようとしてDISC3のイジェクトボタンを押したら、 内部からウーンウーンというモーター音とともに、ディスプレーに「Err」と表示された。予想通りUDCM-M10の修理で経験したトレイ開閉用ベルトの劣化だ。

    DENONの3CDチェンジャーUDCM_M7。「再生OKだがエラーが出る」というジャンク品。 目立つような傷や汚れも無く経年の割りには美品だ。 CDの再生は問題ないようだが、 DISC3のトレイを開けようとしたら「Err」となった。こうなると電源を切るしかない。

     早速にケースカバーを開けてみる。中から出てきたのは、正にUDCM-M10と同じものだ。でも良く眺めて見ると少し違う。 UDCM-M7の後継としてUDCM-M10が開発、販売されており、当然その過程で設計変更がなされていても不思議でもなんでもない。 制御基板部分に若干の違いが見られるが、チェンジャーメカ本体は変わっていないようだ。


    早速にケースカバーを開けてみる。以前に修理したUDCM_M10と同じ構成だ。 上から見てもUDCM_M10に同じ。 背面から見てもUDCM_M10と同じに見えるのだが。 サイドにある制御基板が少し違うようだ。


    基板後方はUDCM_M10と同じようだ。 前方部分がUDCM_M10と異なる。UDCM_M10では、チェンジャーメカと基板の接続はケーブル接続ではなくコネクタ接続であった。後継機で設計変更となったようだ。 チェンジャーメカは同じ物と思われる。過去の分解経験が活かせるかも知れない。 主要なパーツをシャーシーから取り外す。

     やる事ははっきりしている。分解してゴムベルトを交換するだけだ。経験があるだけに分解手順ははっきりしている。 問題は、トレイの引き抜きだ。トレイが簡単に抜けてしまわないようにストッパーが仕掛けてあるが、前の分解では、この ストッパー外しに苦労した覚えがある。トレイを外した詳細手順は記憶に薄い。

     今回はじっくりとこのストッパー外しに取り組んでみた。以下、分解の手順を写真で示す。


    ■メカの分解

    ベルト交換のためにはこのチェンジャーユニットを分解しなければならない。 CD押さえを吊り下げている細い金属バーを取り外す。 金属バーを取り外したら、2箇所のビスを緩めてトレイカバーを外す。 トレイカバーは噛み合わせがあるのでビスを緩めただけでは簡単に外れない。力を加えて少しこじれば外れる。


    写真右下に写っている白い大きなギヤを手で廻すと内部のドラムが回転してピックアップが上下する。後の作業に備えてピックアップを一番上にまで上昇させておく。 金属のピンを引き抜き、3個の連結カムを外す。 外れた連結カム。 連結カムを外したら次に2本のビスを緩めて外しておく。


    3枚のトレイの取り外しに掛かる。 トレイを前後に動かすギヤはフリーになっているので、力を入れて引っ張ればトレイは前に出てくるが、ストッパーがあるので引き抜くことは出来ない。 ここにある窪みにストッパーがある。マイナスドライバーを裏側からあてがって少し上にこじれば外れる。横から眺めて作業すれば難しいものではない。 こちら側にもストッパーがある。細い穴(下側の小さい方)の中にあるので治具無しでは外せない。


    壊れたPHSのアンテナの先を90度に曲げた治具を作成した。これを穴の中に差込みストッパーを外す。 3枚のトレイを外した状態。まだ2本のビスがある。ギヤが見える。 正面から見て左にある本体側のストッパー。三角の突起部分がストッパー。 反対右側のストッパー。先端部分の高さが少し高くなっている。


    取り外したトレイのストッパー部分を詳しく見てみる。 左側にあるストッパー。 左側のストッパーを裏から眺めて見る。この盛り上がり部分が本体側の三角の突起に引っ掛かるようになっている。 右側のストッパーは、下側の穴の中にある。


    右側のストッパーを裏から見る。表から見た穴の底に少し盛り上がった部分がある。 ピックアップを固定している部品をビスを緩めて外す。 ギヤをカバーしている部分のビスを緩めて外す。ここから先の作業で外すビスは無い。これが最後のビスだ。 トレイ開閉用のギヤ部分をCD押さえごと上に持ち上げて外す。この時、ドラムを回転させて位置合わせしないとCD押さえが外れないので注意。

    ■ベルト交換と組立

    分解はここまでで終了。後はベルト交換を行って組立るのみ。 ちなみにドラムを回転させてこの位置にするとピックアップ部分を上に引き抜くことが出来る。ただし、ピックアップ左にある金属パーツを外す必要がある。 2本のゴムベルト。手前は、トレイの開閉用。奥の太いのは、ドラム回転(ピックアップ上下)用。交換した写真のゴムは太すぎて駄目であった。太いとギヤカバーに当たってしまうのだ。ほどほどの太さが必要。 トレイ右のストッパーを外す治具が無い時は、左側のストッパーは簡単に外せるので、このようにトレイをストップさせたままで後の作業を進めても良い。ギヤ部分が外れると、ギヤ部分の下側から右のストッパーは外せる。

     ベルト交換後、動作確認を行う。DISC1からDISC3までのイジェクトボタンをランダムに操作するも、 トレイーの開閉がもたつくことも無く、メカエラーの「Err」表示も出ない。これで修理は完了だ。今回は、分解手順も きちんと記録出来たので今後この機種の分解で手間取ることはないだろう。