DENON 3連装CDデッキ UDCM-M10の修理(その2) 2008.02.03

     ジャンク品です。ヤフオクにて100円で落札。商品説明には、
    ・電源入りましたが、3Discともトレイ開きません。
    ・外観は汚れキズ多々あります。
    ・あとは写真でご判断下さい。
    ・内部の状態までは分かりません。
    ・ジャンクです。部品取り等にお使い下さい。
    ・保証は一切出来ません。ご注意下さい。
    ・リモコンなし
    のように書かれていました。

     商品が到着し早速動作確認を行います。外観は綺麗です。傷は一箇所程度で中古良品の部類です。パネルの表示も経年の割には綺麗です。問題ない明るさです。

     さて、1番目のトレイのイジェクトボタンを押すとトレイが出て来ました。試しにCDを入れ、再度イジェクトボタンを押すとトレイが閉まり、数秒してCDが認識されました。プレイボタンを押すと再生を始めました。飛び越し操作も問題ありません。ここまでの所全く問題ありません。壊れているはずなのに不思議です。

     次に、2番目のイジェクトボタン、3番目のイジェクトボタンと順次押して見ると、次々にトレイが開いたり閉じたり、正常に動作します。問題無いかと思った束の間、イジェクトボタンを押してもトレイが開かず、ウーン、ウーンとモーターの音が微かに聴こえて来ます。暫くして、パネルに「Err」と表示されました。この後、何も操作が出来なくなりました。電源ケーブルをコンセントから抜いてリセット状態にすると回復しますが、何回か操作していると、モーターの空回りの音が聴こえ「Err」の表示がでます。何度やっても同じ症状がまた発生します。「Err」が出るまでの間、CDの認識・再生動作は全然問題ありません。

    DISC1で問題無く動作している
    一旦「Err」になると固まってしまう

     原因ですが、多分チェンジャーメカを動かすゴムベルトのヘタリと思われます。ゴムベルトの交換にはチェンジャーメカの分解が必要だと思われますが、外観から見る限りメカは複雑そうです。分解して元に戻せるかちょっと自信がありません。というよりも、このメカの分解手順が全く持って良く判りません。前回この機種を修理した時に、一度分解しようとしたのですが手順が全く持って判らず諦めたことがあります。

     ともかく、カバーを開けて見ます。中は、チェンジャーユニットとメイン基板、それに電源基板と構造は至ってシンプルです。清掃も兼ねて、ケースから各パーツを取り外し、埃を拭います。チェンジャーメカの外観からは、モーターがメカ部の底にある事は判るのですが、ベルト部分は全く見えません。この機種のメカは見るからに複雑そうです。

    カバーを開けてみた。中は至ってシンプル
    チェンジャーメカは複雑そうだ

     メカユニットをよく眺めていたら、ピックアップ部分を納めたドラムを回すギヤの所にプラスティックの破片が見つかりました。誰かが一度修理でもしたのでしょうか?ひょっとしてこの破片がギヤに喰い込んでいたのかも知れないと、破片を取り除き、淡い期待を寄せて動作確認しましたがそうではありませんでした。やはりベルトのようです。それではとメカの分解に挑戦します。

    CDの再生は問題無い
    パーツを分解して清掃する
    チェンジャメカのギヤ部分から破片が出てきた
    こんな破片が喰い込んでいたか?

     まず最初に3枚のトレイを外しに掛かります。無理な力を加えると壊してしまいますので、ストッパー部分が、どこにどんな構造で仕掛けてあるか仔細に観察しながら作業を進めます。四苦八苦してなんとかこうにか3枚のトレイを取り外すことが出来ました。すると、今までトレイによって隠されていた底の部分に、ギヤとモーターからのベルトが2本あるのが見えました。ベルト交換をする為には、更にトレイを開閉する3段のギヤユニットを取り外す必要がありそうです。

     ギヤユニットは、ピックアップの上にあるCD押さえと一緒に外す必要がありますが、このCD押さえの部分がなかなか外れてくれません。どうやらドラムとの位置合わせがあるようで、ドラムを回転させ、位置を合わせてやることによって、ギヤユニット毎、外すことが出来ました。ここまで分解出来れば、後は楽勝です。ベルト部分も丸裸状態ですし、ピックアップの交換も可能な状態になっています。今回、これまでの試験でピックアップは全然問題無いことが判明してますので、ピックアップはこのままとしておきます。レンズにも汚れはありませんでした。

    チェンジャーメカが分解できた
    2本のベルトがあった
    ピックアップ部分。レンズは綺麗だった
    ゴムシートからベルトを作成、交換する

     例の如くゴムシートからベルトを切り出してベルト交換しました。ベルトは2本ありましたが、交換したのは、トレイ開閉用の一本だけです。もう一本はドラム回転用のものでこちらは問題ありませんでした。この後、元通りに組み直して動作確認を行いました。1〜3まであるイジェクトボタンを何回もランダムに操作してみても「Err」となることはありません。これで修理完了です。

     チェンジャーメカの分解手順をこの時は詳細に記録していませんでしたが、同種の「UDCM-M7」の修理において、メカの分解手順を記録しました。 メカの分解方法を知りたい方は、「UDCM-M7」の修理記録を参照ください。(2010.4.10 追記)