ハードオフで見つけたジャンクの「KA-7500」は、左側メインアンプのトランジスタモジュールに不良があったことは前に公開したとおりです。 その不良のトランジスタモジュールの代替回路を設計し製作したところ、うまくステレオアンプとして復活させることが出来ましたので、今回その内容を追レポートとして公開します。
■「TA−100W」代替回路の設計 「TA−100W」の各端子の信号の意味は、サービスマニュアルの回路図から次のように読み取れます。 代替回路は、右図のように設計してみました。
使用したトランジスタは、サンケンのD2560とB1647のペアです。このトランジスタは、最大Vceが150V、最大Icが15A、Pcが130Wと、今回の回路には最適なトランジスタです。
エミッタに接続する抵抗は、0.2Ω-5Wを採用しました。0.2Ωではなく0.4Ωでも良かったかも知れません。 ダーリントントランジスタのアイドリング電流を決めるバイアス回路は、温度変動に対応できるようトランジスタと抵抗で構成しました。 トランジスタは、出力トランジスタと熱結合を取り易いように、その形状と手持ちの中からD2012を採用しました。D2560と一本のネジでヒートシンクに共締めします。似たような形状のものであれば何でも構いません。 出力は、ダーリントンですのでトランジスタ2個分のバイアス電圧が得られるように抵抗の値を選択しました。具体的には、プラス側、マイナス側、合わせて0.6V x 2 x 2 = 2.4V が得られるよう ベース・エミッタ間に1.2KΩ、コレクタ・ベース間には、2.7KΩと2KΩの可変抵抗を接続しました。可変抵抗の中央付近で、3.6KΩになれば、 (1.2+3.6)/1.2*0.6=2.4Vのバイアス電圧が得られます。 トランジスタQ2、Q3とその他の抵抗は、出力トランジスタの過電流保護回路です。エミッタ抵抗0.2Ωに4.5Aを越える電流が流れると、0.2Ωの抵抗の両端電圧は、0.9Vを越えます。すると、Q2、Q3のベースには、0.6Vの電圧が加わり、Q2、Q3がオンしてバイアス回路をバイパスしますので出力トランジスタはカットオフし、電流が制限されます。
■回路の製作と動作確認 バイアス用のトランジスタQ1と出力のダーリントントランジスタQ4、Q5は、「TA-100W」の取り付け穴を使ってヒートシンクに直接取り付けました。Q1とQ4は、一本のネジで共締めしています。 バイアス電圧調整用の抵抗や過電流保護回路は、ユニバーサル基板に組み込みました。このユニバーサル基板は、スペーサーを使ってドライバー基板の上に取り付けました。 エミッタのセメント抵抗が空中配線となっているのがちょっとダサイです。トランジスタの足のケーブル接続も収縮チューブで保護すべきですがサボっています。 完成した基板に、KA-7500から電源などを仮配線して動作確認を行いました。最終調整後の各部電圧は、次のとおりとなりました。
■測 定 出来上がった回路で音楽を聴いて見ると特に違和感はありません。私の耳で聴く限り聴感上の問題はなんら感じられません。 一応、正弦波を入力して出力波形を観測するとともに右チャネルの出力と比較してみました。
過電流保護回路の動作確認については、出力トランジスタを破壊する恐れもありますので止めておきました。スピーカー端子をショートした時にうまく働いてくれることを期待しておきます。 回路を本体に組み込んで完成です。完成後、正弦波を入力し、5Ωの抵抗負荷に 10V x 10V / 5Ω = 20W の出力で暫くエージングしてみました。ヒートシンクは結構熱くなりましたが熱さは左右同じような感じでした。勿論、熱暴走は起こったりしませんでした。 |