ハードオフでジャンクのプリメインアンプ、TRIOの「KA-7500」を見つけました。商品札には、こんな説明書きがありました。「電源は入りましたが、音が出ません。」 背面を見てみると、スピーカー端子が金メッキのバナナプラグ対応のものに取り替えられていました。Bスピーカー用の端子がありません。Aスピーカーのみとなります。更に、シャシー上面の通風孔から中を透かして見ると基板上の電解コンデンサが新しいものに交換されているように見えます。 値段は、税込み4,860円。音が出ないにしては高いような気もしますが修理で暫く遊べるのではないかと思い購入しました。
■KA-7500の故障箇所調査 自宅に持ち帰り早速に動作確認を行ってみました。電源スィッチを入れると、電源インジケータの赤のLEDとメーターの照明ランプが点灯しました。 一度電源を切り、背面のAUX入力端子にPCからのオーディオ出力を、スピーカー端子にテスト用のスピーカーを繋いでからもう一度電源を入れます。入力切替でAUXを選択しボリュームを少しずつ回して見ますが、メーターは振れず音も出ません。商品説明に間違いはないようです。 もう一度確認して見ると、電源を入れた後、数秒後にカチッというスピーカー保護リレーが動作する音が聴こえてきません。リレーが動いていないのですからスピーカーから音が出るはずがありません。 このアンプは、プリアンプ出力とメインアンプ入力を背面のスィッチで分離できます。プリアンプ出力をミニコンポのLINE入力に接続して見ましたら、ミニコンポからは正常に音がでました。ボリュームも左右のバランスもトーンコントロールもちゃんと動作しています。プリアンプ回路は問題ありません。 メインアンプの故障か、もしくはスピーカー保護リレーの駆動回路の故障のようです。リレーの駆動回路の故障であることを祈りつつシャシーを開けてざっと中を覗いてみます。
2014.11.16 ■左のメインアンプ不良 スピーカー保護リレーは、メインアンプの出力が異常になった時には、直ちにスピーカーを切り離すようになっています。この保護動作がずっと働いているのかも知れません。そこで電源投入直後のメインアンプの出力電圧を測定してみました。 右の出力は、+25mVで、左の出力は、なんと-29.8Vでした。これでは、保護回路が働きリレーは動作しません。このアンプでは、先の写真で見たように左右のメイン基板は分離されています。左のアンプ基板への電源ケーブルを取り外してみました。これで不具合原因は取り除かれ、リレーは動作し右側から音がでるはずです。 動作確認を行って見ると案の定、リレーの動作するカチッという音がし、右からは期待どおりに音がでました。メーターもちゃんと振れています。ボリュームを上げると音も大きくなります。 ここまでの調査で左のメインアンプ不良が特定できました。それでは、左のメインアンプのどこが悪いのでしょうか、次なる調査を進めます。
■アンプモジュールの分解 アンプユニットをシャーシーから取り外し、回路図を元にアンプモジュールを調べてみました。結果、プッシュプルのマイナス側のダーリントンの出力トランジスタが故障していました。各端子間が導通状態になっています。またエミッタ抵抗の0.4Ωも焼けて断線していました。
■取り合えずプリアンプあるいはモノラルアンプとして活用 ディスクリートのトランジスタを使ったアンプ回路であれば、壊れたトランジスタを交換すればいいのですが、今回はモジュールの不良です。トリオ専用に設計されたモジュールで代替品もありません。ジャンクのKA-7500やKA-7300からアンプユニットを取り外して組み込む手もありますが、それではもう一つ不良品を作ることになります。 幸いにメインアンプのドライバー基板は正常です。ディスクリートのトランジスタを使ってこのトランジスタモジュールと同等の機能を持つ回路を製作できれば復活させることができます。 取り合えず、回路が出来上がるまではプリアンプもしくはモノラルアンプとして活用したいと思います。
右のアンプ出力を左側にも接続し、動作モードをモノラルに設定して動かしてみました。左右のメータが仲良く振れて見た目は正常なアンプに見えます。この後、ツマミやノブ、パネルを清掃しておきました。 今回は修理完了にまでは至りませんでしたが、同等の回路の組み込みに成功したら追レポートしてみたいと思います。
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