パソコンでFM放送が聴けるなんて!!(その2)

FM Radion Maru
 Linuxでのラジオ制御プログラム作成途中での事です。解析結果に基づく簡単なプログラムをまず作り,テストするのですがラジオが鳴りません。comポートのデバイスファイルをオープンし,ttyのモードを9600BPS,N81に設定し,電源オンコマンドを送信するのですが一向に鳴ってくれません。プログラムを何度眺めても間違いはありません。どうもラジオン丸のDSRやCTSの信号がうまく上がっていないようです。シリアルポートドライバの方でDSRやCTSを無視すればいいのかも知れませんが,そこまで立ち入ろうとするとLinuxカーネルまで踏み込む必要があります。プログラミングで何か思い違いをしているのかも知れませんがこの辺りを調査するとなると面倒です。そこで手っ取り早く解決する方法としてハード上での対策を行うことにしました。

 ラジオン丸を分解し,RS232C信号端子のRTSとCTS,DTRとDSRをそれぞれ半田付けにてジャンパー接続しました。次がその分解写真です。

 黒い線がジャンパーです。予想どおりこれでLinux側から一発でコントロールできるようになりました。

 ラジオン丸の分解は簡単ではありません。プラスティックのケースがビス止めではなく接着剤でぴったりと接着されていますのでうまくこじ開けないと壊してしまいます。後で気が付いたのですが,マザーボードに接続するcomポート用のリボンケーブルで同様の細工をすれば,何もラジオン丸を分解する必要などありませんでした。リボンケーブルなら壊してしまっても又代わりのものを購入すれば済みます。今思えば馬鹿な事をしたものです。

 これでメデタシメデタシ,Win95,LinuxのどちらのOSを立ち上げてもFM放送がステレオで受信できます。


 こうして暫く楽しんでいたのですが,いつの日からかステレオで受信しなくなりました。モノラルでしか受信しません。Win95,Linuxどちらも同じです。電波受信状態が悪くなったのかとアンテナケーブルの取り付け位置を部屋の中で色々変更するのですが一向に改善されません。やはり分解したのが悪かったのかも?
 色々原因を想像してみるに,どうもマザーボードを変更してからのようです。ラジオン丸を購入した時に使っていたマザーボードは,ギガバイトの「GA−586HX」でした。購入した「GA−586HX」は初期のものでリビジョンも古くMMX対応でなかった為に,ASUSの「P/I−P55T2P4」に買い換えました。どうもこの時からステレオ受信しなくなったようです。
GA-586HX

P/I-P55T2P4
 (その1)の解析結果で示したように,ラジオン丸はcomポートのDTR(ER)から電源を取っています。原因として考えられるのは,T2P4のcomポートに出力されているERのファンアウトが足らないかも知れないということです。早速テスターでERに出力されている電圧を測定しました。ラジオン丸を繋がない時には+12V出ていますが,ラジオン丸を繋ぐと+5Vぐらいにダウンしてしまいます。
 つまり,供給電源の電圧低下によりラジオン丸の受信感度が大幅に低下してしまうようです。このためステレオ受信出来なくなっているようです。T2P4のオンボードマルチI/Oコントローラの出力がモデムを接続するには十分であっても,ラジオン丸のようになものに電源を供給するような余裕がない(あるいは出力インピーダンスが高い)ということなのだと思います。

 マザーボードの仕様なのですからこれはどうしようもありません。こうなれば,comポートを接続するリボンケーブルを加工し,ケース内の電源ユニットから+12Vをラジオン丸に直接供給してやるしかありません。先にも書きましたが今更リボンケーブルを加工するのもしゃくです,何か他に手はないかということで,ジャンク品で購入し眠っていたマルチI/Oカードを使用することにしました。こちらのカードのcomポートは,ラジオン丸への電源供給は十分なようです。見事ステレオ受信が復活しました。ちなみに電圧は+10Vぐらい出ています。


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