DENON MD/CDミニコンポ D-MS3の修理(その2) 2008.7.22


     またまたジャンクのミニコンポをオークションで入手した。
     DENONのシステムコンポ「D-MS3」だ。

     このコンポ、スピーカーから音が出ないというのだ。先日修理した「D-MA3」のようにアンプ最終段のスピーカーリレーの 不良なら簡単に修理できる。オークションを眺めていて思わず入札、落札した次第。

     コンポが自宅に届き早速に動作確認を行って見る。

     まずは、チューナーをチェック。FMを正常に受信しているようだが、ボリュームを右にいくら廻してもスピーカーからは 音が出てこない。

     MDやCDも試して見ると、ディスプレーの表示を見ている限りでは、正常に認識して再生をしているようだが、全く音が出てこない。 ちなみに、CDやMDの再生中に、OPT-OUTやTAPE-OUTの出力を別のオーディオシステムに接続して確認して見ると正常に出力されていた。

     ヘッドフォン回路は、リレー回路を通っていないので、仮にスピーカーリレーが不良でも、ヘッドフォンからは音が出るはずだ。ヘッドフォンを繋いで確認して見ると、残念ながらヘッドフォンからも音が出ない。

     どうやらこのコンポ、スピーカーリレーの不良などではなくアンプ回路そのものに不具合があるようだ。

     「D-MS3」のアンプ回路は、前回の修理の時に十分に調べた。予備知識があるので故障探索は簡単だ。

    ケースカバーを開けるとアンプ基板裏側が見える
    不具合部分の拡大
     ケースカバーを開けて、アンプ回路の各端子の電圧を測定して見る。電源回路からの各電圧出力(+22V、-22V)やマイコンからの制御信号(LMUTE、AMP-STBY、SPK-RY)は正常だ。

     次にアンプ回路の中心となるハイブリッドIC(STK402-030)の各端子電圧を測定して見ると、+Vcc、-Vcc、Pre+Vccは正常だが、 Pre-Vccが0Vと異常だ。

     Pre-Vccは、-Vccから100Ωの抵抗を通してトランジスタスィッチを経由して印加されるのだが、回路パターンを追いかけて 見ると100オームの抵抗が断線状態となっていた。

     そこで、コンポを分解してアンプ基板を取り外すのも面倒なので、基板裏のパターン側に手持ちの100オームの抵抗を仮付けして 電源を入れて見た。すると抵抗の皮膜が焼けてモクモクと煙が立ち昇った。

     あわてて電源を切り、抵抗付近の回路を調べて見ると、抵抗の片側につながる電解コンデンサがパンクして、グランドとショートしていた。

     通常はオープンとなるコンデンサだが、ショート状態となっていたため、100オームの抵抗に22Vがもろに印加され、1/4Wの抵抗では、熱に耐え切れずに焼けてしまったという訳だ。


     コンポを分解し、アンプ基板を電源基板から取り外す。部品が取り付けられた基板の表側を見てみると、金属皮膜の100オームの抵抗が焼損していた。抵抗を基板から取り外し抵抗値を測定してみると500kΩであった。断線ではなく焼けて高抵抗となっていた。

     問題と思われる電解コンデンサを取り外し、単体にて確認してみると、端子間が確実にショートしていた。 このコンポは、2003年製でまだ5年しか経過していない。コンデンサの劣化が進むにはちょっと早い気がする。 元々固体不良だったのかも知れない。

     コンデンサの端子間ショートにより、抵抗が焼損し、ハイブリッドICのPre-Vccに電圧が供給されず、音が出なかったという訳だ。

     電解コンデンサは、耐圧35Vの220μF、オーディオ用のコンデンサと思われる。抵抗は金属皮膜のものだ。手持ちのパーツに該当品は無い。 取り合えず、手元にあった耐圧50V、100μFの電解コンデンサと炭素皮膜の一般の抵抗で置き換えて動作確認を行って見た。結果は、正常に音が出る。他に不具合箇所は無いようだ。

     アンプ回路の電源部のプラス側、マイナス側で部品の仕様が異なるのは好ましい事ではない。そこで、部品取りにしているジャンクの「D-MS3」の正常なアンプ基板と交換することにした。