Victor 3連装CDデッキ XL-EX7の修理 2006.02.11

     ハードオフにて、Victorの3連装CDデッキのジャンク品「XL-EX7」を2,800円にて購入。商品説明によると、「ディスク1〜3 CDを認識せず」とありました。

     CDチェンジャーは、3連装でも6連装でも、ヘッド(光ピックアップ)部分は、通常一つしかありません。ヘッド部分の故障なら、一箇所直せば全てOKとなります。「ディスク1〜3 CDを認識せず」と書いてあるということは、CDトレイの開閉動作は問題なかったということになります。

     見た目ちょっと古そうですし、ケースに排熱の穴が空いていないことなどから、ピックアップのレンズに汚れが溜まってCDを認識しなくなったのだろうと思われます。これなら簡単に直るだろうと思い購入した次第です。

     帰宅後、早速に動作テストをしてみました。通電は問題ありません。電源スィッチを押すと、表示パネルが点灯しましたが、この表示の暗いこと、暗いこと。蛍光表示管の寿命でも来ているのでしょうか? ちょっと、これには、ガックリです。仮に修理がうまくいっても表示パネルが暗いのではいまいちです。

     このデッキは、下から上に向けて順にディスク1、2、3となっています。通常は上から下に向けて1、2、3だと思いますので少し奇異な感じがします。CDは入れずにトレイの開閉ボタンを色々と押して見ましたが、特に問題なくトレイは開閉します。次にCDを入れて認識するか確認して見ました。案の定、まったくCDを認識しません。

     有無を言わさずにケースを開けてみました。一番上のトレイ(ディスク3)にCDを入れて様子を見てみると、CDを飲み込んだ後、CDが回りだすのですが一向に停止しません。TOCが読み取れないようです。チェンジャーメカのピックアップ部分を覆っている金属カバーを外し、ピックアップのレンズ部分を良く見てみると、やはり汚れが付着していました。

     無水アルコールを浸した細筆で丁寧にレンズ部分の汚れを拭き取ってやります。金属カバーを元に戻し、再度CDの読み込みテストを行うと、いとも簡単に認識します。次に、CD-Rで認識テストを行って見ましたが全く認識しません。

     市販のCDはOKですが、自宅で作成したCD-RはNGという結果です。CD-RはCDよりも光の反射率が低いためにこういう結果になっても別に不思議でもありませんが、CD-Rが認識できないのでは困ります。ピックアップ横にあるボリュームを少し右に回してレーザーの出力を少し上げて再度CD-Rを読み込ませて見ると簡単に認識するようになりました。

    ケースを開けて見ました。ピックアップ部分を見るには金属カバーが邪魔になります。 金属カバーを外して見ました。金属カバーはネジ一本を緩めるだけで簡単に外れました。メンテナンスが楽な構造です。 電源部分には、Rコアトランスが使われています。さすが「音のビクター」、高音質設計への配慮です。 レンズ部分を清掃してCDが読めるようになり、側面のボリューム調整でCD−Rが読めるようになりました。

     DISC3にCDをセットして確認してきましたが、続けてDISC2、DISC1でも確認することにしました。するとDISC2ではCDを認識したりしなかったり、DISC1に至っては全然認識してくれません。ピックアップ部分が上下するだけなのに、なぜかピックアップ部分が下降するに従って認識が悪くなります。それと、DISC2やDISC1では金属カバーの部分のCD押さえ金具が金属カバーに擦れて「カシャカシャカシャ」という音を発します。

     ピックアップ部分は、チェンジャーメカに3箇所の制振ゴムで取り付けてあります。ピックアップ部分を触って見ると左右方向に少々のガタ付きというか、遊びが見受けられます。このCDチェンジャーは1997年販売開始ですから、経年により制振ゴムが劣化してきているのだと思われます。

     ピックアップが下降した際、ピックアップから下部基板に繋がるフレキシブルケーブルによってピックアップ部分が少し斜め方向に持ち上げられて、ピックアップ部分全体が水平を保てなくなっているのではないかと思われます。これによりモーター軸が少し傾く結果となり、CD押さえ金具が金属カバーに擦れてしまっているようです。

     トラッキングモーターの下辺りに空隙がありますので、ここにゴムマットの小片をあてがってやりました。こうすることで傾きを防止することができます。本来なら制振ゴムを新品のものと交換するところですが、ゴムの部分だけが入手できるのかどうか怪しいものですので、このような措置としました。

    ピックアップの全体部分は3箇所の制振ゴムで固定されています。 制振ゴムの劣化で固定部分に遊びが生じ、フレキシケーブルにより傾きが発生 モーターの下に少し空隙があるのでここに詰め物をして傾きを防止することにする ゴムマットの小片をあてがって傾きが防止できた。

     さて、これによる改善効果ですがバッチリです。「カシャカシャカシャ」という押さえ金具の異音もなくなりましたし、どのDISCのポジションにおいてもCDの認識・再生は問題なく動作するようになりました。CD−Rも問題なく再生できます。CD−R3枚に渡る一連のチェンジャー動作を含めて、その間音飛びなどは一切発生しません。再生動作に関しては修理完了です。

     このCDチェンジャーの機能を改めて確認して見ました。大体の仕様は次のとおりです。

    • 本体背面にはPINプラグによるアナログ出力の他、光デジタル出力もあります。
    • 再生中でも停止させることなく、その他のDISCの入れ替えが出来ます。
    • チェンジャー機能を活かすために3つの再生モードがあります。なお、このチェンジャーにはリモコンがありません。
      再生モード  説  明
      BESTHIT各CDの先頭の曲だけを再生します。
      シングルCDの1曲目のみを再生するのに便利です。
      PROGRAM一枚のCDについて全曲を好きな順番に再生します。
      プログラム設定は前面の操作キーで設定できます。
      RANDOM3枚のCD全曲についてランダムに再生します。
      CDをとっかえひっかえして曲をランダムに再生します。同じ曲が2度再生されることはありません。
    • リピート機能も充実しています。全CDを繰り返し再生する「DISC ALL」、一枚のCDのみ繰り返し再生する「1DISC」、一曲のみ繰り返し再生する「1」の3つの繰り返しモードがあります。

     このCDチェンジャーは、高音質であり、多彩な機能がありながらも操作が簡単で言う事なしですが、表示パネルがいまいち暗いのが難です。まぁジャンク品ですから贅沢はいえませんが、ここは我慢して使いこなすことにします。