KENWOOD テープデッキ X-SE7の修理(その2) 2006.03.14

     ヤフーオークションで次のような書き込みを見つけました。

    CD・MD・カセット・チューナーコンポ(ジャンク)です。
    カセット再生時片面が早送りに様に再生されてしまいます。
    CDも市販のものは再生されますが、CDR等に録音したものは
    聞けないものがあります。
    画像では一つしかないスピーカーは左右2個あります。
    MD、チュ−ナーは正常に作動しております。
    ご理解頂ける方よろしくお願いいたします。

     コンポの内容は、KENWOODのAVINOシリーズのR-SE7,DP-SE7,DM-SG7,X-SE7,LS-SE7です。

     ジャンクの理由は、カセットの片面再生不良とCD-Rの再生不良の2点。カセットの不良原因は片側ピンチローラーの破損、CDプレーヤーは、経年によるピックアップレンズの汚れ、あるいはレーザー出力の低下と思われます。

     この推定の正否を確かめて見たいという思いと、予想が外れていた場合にはその調査・修理が楽しめるからとの理由で応札し、このコンポを格安でゲットしました。

     明確にジャンク理由が書かれているジャンク商品はセリ合うことも少なく、出品価格が安ければ格安で手に入れることができますので狙い目です。

     さて、商品が到着し確認作業です。商品説明のとおりチューナー・アンプとMDレコーダー、スピーカーは問題無く動作しました。CDプレーヤーについては、確かにCD-Rの認識ができません。また、市販のCDも認識できないものがありました。カセットデッキですが、こちらは説明以上の不具合です。カセットトレイの開閉はできますが、テープが回りません。早送り、巻き戻しも出来ません。

     早速に分解して修理に取りかかります。まずは、CDプレーヤーですが、こちらはピックアップレンズの清掃とレーザー出力調整でCD-Rを問題無く認識再生させることが出来ました。

     カセットデッキですが、予想どおりにリバース側のピンチローラーのバネ押さえ部分が破損していました。これは商品説明にある片面再生が早送りされるという現象にマッチします。届いた商品には、さらに、操作パネルの接点不良か、カセットメカの制御回路の不良があるように思われます。
     カセットデッキの各パーツを分解しましたところ、メカの制御基板にクラックが起きています。カセットデッキを下にして商品全体が縦積に梱包されてきましたので、輸送中に上からの重量による無理な力が内部の基板に加わってクラックしたものと思われます。
     クラック部分の裏側の回路パターンにも亀裂がはいり断線状態となっています。このために、マイコンからの制御指令がメカに伝わらず、モーターが回らないようです。
    パターンの亀裂部分を目の細かいサンドペーパーでこすり、半田を盛り上げて断線部分を接続します。組立直して試験すると、カセットテープが回るようになりました。

     次は、ピンチローラーの修理です。幸い破損したピンチローラーのかけらやバネはケース内に残っていましたので、これらを使って修復します。アロンアルファで破損したかけらを接着、その接着部分にプラスティックの小片をさらに被せて、かけらの接着部分を補強しました。これで、片面再生が正常になりました。

     その後、録音の確認や早送り、巻き戻し、などカセットの各種操作を繰り返しテストしましたところ、リバース側の送りの時にテープがキャプスタンに巻きつくことがありました。さらに、テスト途中からテープが回らなくなりました。パターンの断線部分の半田盛り付け修理の部分がまた断線したようです。

     パターンの断線を半田盛り付けにて修理する方法は耐久性において難があるようです。見栄えは悪くなりますが0.3mmのジャンパーワイヤーを使って断線した部分を接続し直しました。
     キャプスタンへのテープの巻き付きは、メカの裏側にあるプーリーベルトのへたりによるものです。プーリーベルトがへたるとテープの巻き取り機構が正しく動作しなくなり、キャプスタンにテープが巻き付くようになります。プーリーベルトを交換しました。

     以上でカセットデッキの修理は完了です。1セットのミニコンポが手に入りましたが、使い道はこれから検討です。