PIONEER カセットデッキ T-N901の修理 2008.12.14

     ヤフーオークションのジャンク出品を眺めていてふと目に留まったのがこれ。パイオニアのカセットデッキだ。一般的な水平装着のカセットデッキなのだが、トレイに書かれた「DIGITAL PROCESSING SYSTEM 20bit A/D D/A CONVERTER」の文字が気になった。

     早速にネットで調べてみると、このデッキはデジタル処理でテープヒスノイズを消してしまうというのだ。更に、再生中に低音と高音のバランスをモニターし、高域の不足分を自動的に補正しクリアな音を実現するという。

     商品説明は次のとおり。

    • 電源は入りましたが、トレーが出ませんでした。
    • 電源ボタンの反応が悪いです。
    • その他の動作は、未確認です。

     トレーの開閉不良は、同種機器に良くあるベルトのヘタリと思われる。電源ボタンは、内部のタクトスィッチの接触不良だろう。この程度の不具合なら修理は簡単だ。

     なんとか手に入れて、このデッキのデジタル処理を体感して見たいと思い入札、幸いジャンク品のため競り合う事も無く格安で手に入れることが出来た。

    操作パネルは目立った傷も無く見た目は良好だ 電源ボタンを確認する。電源投入後の蛍光表示管の輝度は十分だ。ボタンの反応は確かに悪い。電源が入らない時がある ボタン操作でトレイは開くが閉じない。モーターの回転音が聴こえる。ベルトが空回りしているのだろうか?


    カバーを開けて上から見る。 右側面。音声のデジタル処理用ICが見える 左側面。こちらのICは、操作ボタンやデッキのメカを制御するマイコンだ


    正面からの様子。 デッキのメカを取り外す。 デッキメカの左側面。トレイ開閉のギヤ機構がある。ベルトにヘタリは感じられない。メカの裏側。キャプスタン軸を廻す二つのフライホィールがベルトで繋がっている。水平装着のデッキでは見慣れた構造だ


    トレイ開閉用モーター。正転(開く方向)は問題無いが、逆転(閉じる方向)の時うまく回転しない。制御回路からの電圧は正常だった。 CD-ROMドライブのトレイ開閉用モーターと交換することにする モーターの大きさが違うのでうまく装着出来るか不安CD-ROMのモーターをなんとか取り付けることが出来た。プーリーは元のものに付け替えておいた
    交換したモーターの取り付け状況 この後、全て分解して清掃を行う。電源ボタンなどのタクトスィッチは接点復活剤で接触不良を解消しておく 元に組み立て直して修理完了。視聴テストを行う。
     左右の録音レベルに不揃いがあるようだ。再調整が必要だ。