KENWOOD ミニコンポ SE-7MDの修理 2009.2.2

     KENWOODのミニコンポ「SE-7MD」のジャンクをハードオフで購入した。

     何か面白いカセットデッキは無いものかと、ハードオフに立ち寄ってみたのだが、これというカセットデッキも無く、 このまま帰るのもつまらなくて購入予定もなかったミニコンポをついつい買ってしまった。

     「SE-7MD」は、本来、レシーバー・アンプ「R-SE7」、CDプレーヤー「DP-SE7」、MDデッキ「DM-SE7」、 カセットデッキ「X-SE7」の4コンポーネントとスピーカー「LS-SE7」で構成されるシステムコンポであるが、 今回購入したものは、スピーカーとリモコンが無い。

     主要な4コンポーネントが、ケーブルで接続されたままで展示してあった。「CDプレーヤー再生しない、 MDは再生を確認」とあったが、自分で確認するまではあてにならない。

     自宅に持ち帰り早速に清掃と確認動作を行う。4台とも薄くかかった埃を濡れ雑巾で拭いてやるだけで 綺麗になった。


     以下にそれぞれの不具合状況と修理対応を示す。


    ■レシーバー・アンプ「R-SE7」

     R-SE7はアンプだけにケースに放熱口がたくさんあり、内部には、綿埃がたくさん堆積していた。 エアーダストブロアーで吹き飛ばしておいた。

     電源を入れて見ると、やはりディスプレーの表示輝度が低下していたが、AM/FMの受信、その他アンプとしての 動作に不具合は全然見られ無かった。定番のスピーカーリレーの接点接触不良もまだ発生していない。

     リレー類は、一度取り外して、接点清掃をやっておく方がいいのだが、当面使う予定もないので、 メンテはここまでにしておいた。


    ■MDデッキ「DM-SE7」

     ディスプレーの表示がやや低下しているが、使用上問題ない明るさだ。このデッキ、MDを全然認識しない。 そこで過去の修理で、デッキ本体を傾けると動作するという不思議な経験をしたので、今回も傾けてみた。

     やはり、前後、左右、いずれかの方向に傾けてやると、すんなりとMDを認識する。その状態では、 再生もスムーズで、飛び越し選曲も問題なく動作する。ところが、再生途中で水平に戻すと、 とたんにMDの読み取りに失敗してしまう。

     以前、この現象の原因解明に努力したが何も結論は得られなかった。そこで、今回も挑戦してみたのだが、 やはり何も得るものはなかった。

     いずれにしろ、ピックアップのレーザー出力の低下が直接的な原因と思われる。出力低下の最初の発現事象が このデッキでは、このような症状として現れるということなのだろうと勝手に解釈する。


    ■CDプレーヤー「DP-SE7」

     こちらもディスプレーの表示は、低下気味であるが使用上問題ない明るさだ。CDトレイのイジェクトボタンを 押してみると、ゆるゆると今にも止まりそうな感じでトレイが出てきた。もう一度イジェクトボタンを押すと、 一旦引き込んだ後、またゆるゆると出てきた。完全にトレイ開閉用のゴムベルトがへタっている。

     ケースカバーを開け、CDユニットを分解し、トレイ開閉用のゴムベルトを手持ちの予備ベルトと交換する。 ついでに、ピックアップレンズを清掃しておく。

     メカを組み戻し、ケースカバーは開けた状態で、トレイの開閉をテストする。ベルトを交換したので、トレイが スムースに開閉するのが見てとれる。


     次に、トレイにCDをセットし、読み込み動作を確認した。トレイが閉じるとCDが回転を始めるのだが、回転 が始まると同時に、電源が落ちてしまった。何度やっても同じ。CDが回転を始めると電源が落ちてしまうのだ。

     何回か試していると、たまに電源が落ちずにCDを認識できる時があるが、再生を始めたとたんに電源が落ちてしまう。

     CDを回転させるスピンドルモーターが動き始める時には、一瞬大電流が流れるが、その時に、デッキ内部の どこかで電源がドロップし、システム自体がリセットしてしまうようだ。

     このデッキの基板は、べーク基板ではあるがスルーホールを多用し、表裏に部品が実装されている。ネットでの 修理事例を探して見ると、このスルーホールが 駄目になるとこのような症状が発生するとあった。さらに、その 修理方法として、単線ワイヤーによるスルホールをスキップするようにジャンパー配線を施すことが紹介してあった。

     試しにこの方法を行ってみたが効果は全くなかった。相変わらず電源が落ちる。やはり自分できちんと調査しないと 駄目だと反省する。


     トレーの開閉にもモーターを使っているのだが、こちらのモーターが動作する時には電源が落ちることはない。 そこで、モーターへの電源供給を中心に基板上のパターンを追いかけてみた。

     すると、CDユニットのスピンドルモーターの電源は、トレーの開閉用モーターの電源回路とは別の回路となって いてその電圧は+7Vであった。

     さらに、メインマイコンやCDユニットへ供給する+5Vのデジタル回路用電源が、スピンドルモーター用の+7V電源 から、シャント抵抗を経由して作られていた。

     スピンドルモーターが回転する瞬間の電圧をテスターで観察して見ると、+7.3Vある電圧が+6Vぐらいまで 低下する。テスターの反応が遅いので、実際は、もっと低下しているかもしれない。こうなると、 マイコンやロジック回路がリセットしてしまっても不思議ではない。

    CDメカと基板とトランスのシンプルな構成 黒と青のコンデンサが交換したもの

     回路をよく見ると、電源安定化のために電解コンデンサが取り付けてあった。 このコンデンサが容量低下を起こすとこのような症状になる可能性大である。そこで、手持ちのコンデンサの中から 倍の容量のものに交換を行ってみた。

     結果は上々だ。何度もCDの読み込みをさせてみたり、飛び越し選曲を前方や後方へ繰り返し行ってスピンドル モーターへの負荷をかけてみたが、電源が落ちるようなことは全くなかった。これでもう電源が落ちることはなくなった。

     CDプレーヤーの修理はこれで完了とした。


    ■カセットデッキ「X-SE7」

     電源を入れて、カセットトレイのイジェクトボタンを押して見る。トレイが全く反応しない。定番の不具合だ。 早速にケースカバーを開けて見る。

     トレイ開閉用のゴムベルトがヘタっている。手持ちの適当なゴムベルトに交換してやったらトレイはスムーズ に開閉するようになった。

     テープをセットして、カセットメカの動作を確かめて見る。録音・再生・早送り・巻き戻し・リバース動作、 いずれも問題は見られない。メカ本体のメインベルト、プーリーベルトはまだ健在のようだ。

     キャプスタン軸、ピンチローラーをアルコールで清掃し、ヘッドの消磁をして修理完了とする。