SONY NetMD MZ-N910の修理 2008.03.21

     SONYのNetMD MZ-N910のジャンク品が手に入ったので修理をした。経緯はこうだ。

     録音済みのMDに、ミニコンポの操作ボタンや付属のリモコンを使って曲名やディスクタイトルをちまちまと書き込んでいたのだが、これが面倒でなんとかPCから簡単に書き込みできないものかと思案していたところ、赤外線発光ダイオードとフォトトランジスタによる簡単な電子工作(WinLIRC)で、PCからリモコンの操作を模擬できることを知って、部品を調達して挑戦して見たのだが、どうにも動作が今ひとつ。

     東京に住む友人とこんな話題でメールのやり取りをしていたら、秋葉原でSONYのNetMDのジャンク品を手に入れてくれた。彼の方で簡単なテストをして見た所、再生は問題無いとのこと。このNetMDがあれば、SONYのサイトからSonicStageのソフトをダウンロードしさえすれば、ディスクのタイトルや曲名をPCからMDに簡単に書き込み出来る。

     さて送って来たMDだが、その外観は、使用感があるのは当然としてもジャンク品としては申し分ない状態であった。付属品はリモコンと乾電池ケースだけ。手元にある子供のパナソニックのMDウォークマンから充電池を借用し、乾電池と併用して早速テストを開始する。

     録音済みのMDを放り込み再生を行う。最初の数曲は問題無く聴く事が出来た。次に、USBケーブルでPCに接続し、PC側でSonicStageを立ち上げる。SonicStageでNetMDを選択し、MDに書き込まれたディスクタイトルや曲名を表示させて見るとうまく表示された。それではと画面上で曲名を書き換えて見ると直ちにMDに情報が転送されMDのTOCが書き換えられた。

     次にCDからPCに取り込んだmp3ファイルの中からひとつを選曲し、SonicStageにてMDに転送して見た。1〜2分の待ち時間で曲データが転送され、転送された曲データの再生結果も問題ない。それではと、この逆の操作を試して見た。MDに録音済みの曲データをPCに取り込みが出来れば、MDにしか録音していない曲をPCでも聴けるようになる。こんな便利なものは無いとテストして見ると、「ライブラリに未登録の曲はMDからPCに転送できません。」と連れないエラー表示。

     NetMDの仕様を確認して見ると、MDからPCへの転送は、曲データの転送は行われず、PC側で管理している外部機器への書き込み回数を一回分回復させるともに、MDからは該当の曲を消去してしまうというものであった。つまりは、PCからMDへ一旦預けた曲をPCに戻すという概念だ。これは、音楽著作権を守るということでこのような仕様になっているようだ。

     この著作権の扱いが変ったのかどうか、昨年になってPC側の管理に関係なくMDから曲データを転送出来るMDウォークマンがSONYから発売されている。なかなかの人気機種でMDからPCへの取込需要も多いのか、ヤフーオークションでは、「一週間レンタルします」なんて出品まで現れている。

     さて、このNetMDの使い道だが、当初のディスクタイトルの書き込みだけに限ればここまでのテストで問題無いところだが、やはり録音・再生動作は完璧であって欲しいと思い、MD一枚分の再生・録音テストを行うことにした。

     その前に、お決まりの分解清掃を行って見る。ジャンク品として出回っていた以上、MD一枚分の全曲再生・録音は失敗する可能性が高い。上蓋ケースを外してみると中は以外と綺麗であった。ジャンク品ということで埃が一杯詰まっているかと思ったがそうではなかった。ルーペでよく観察して見るとモータ軸付近に髪の毛と思われるものが巻きついていた。これを丁寧に取り除き、念のためにピックアップのレンズをアルコールで清掃する。これだけでも済ませておけば、安心してテストが出来る。

    上蓋ケースを外した
    こんな髪の毛が巻きついていた

     テスト結果だが、曲が進みディスクの外周部に近づいてくると読み込みが出来なくなる。ピックアップが何度も読み直しをしているような感じだ。場所が一定ではなくディスクの中程を過ぎると起きるようだ。ヘッドが移動する時のジッジッという音も心なしか大きいような気がする。

     PCからの曲転送による書き込みも同様に途中でピックアップ移動が止まってしまった。再度テストしても同じだ。USB接続しているためにPCにまで影響してPCがリセットしてしまった。どうもピックアップのフォーカスがうまく出来ていないような気がする。単純なレーザー出力の低下とは考え難い症状だ。

     もう一度、上蓋ケースを開け、ピックアップ近辺を良く観察して見る。レンズは綺麗だし、目で見える限りでは、ゴミが付着しているようにも思えない。念のために、ピックアップレンズ周辺にスプレー式のダストブロアを2〜3回吹き付けてみる。目に見えない程の小さな埃などがあれば吹き飛んでしまっただろう。

     元に戻してテストを再開して見るとピックアップ移動が止まるような不具合は起こらない。ヘッド移動の音も静かだ。どうやらスプレー吹き付けが功を奏したようだ。暫くエージングを兼ねて使って見ようと思う。