■Victor ステレオ カセット デッキ KD-A5 1979年
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このデッキは、昔所有していた訳ではない。TC-K65の修理をきっかけにレトロ品の修理に興味が湧いて入手したものだ。ちなみにオークション落札価格は100円。
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KD-A5は、ビクターのメタルテープ対応の一号機である。
当時のカタログによれば、「ビクターが拓いたメタル時代。メタルは、はっきり音が違います。これからのデッキは、まずメタルポジションつき。」
のキャッチフレーズで登場した。ノイズリダクションにビクターのANRSを搭載、センアロイヘッドのSAマークと大きなVUメータが印象的なデッキだ。
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大きなVUメータが印象的 |
2ヘッドともSAマーク付き。 センアロイヘッドを採用 |
バックパネル |
メタル録音時のBIASが10%調整可能 |
入手品はもちろんジャンクだ。まともに動くはずが無い。徹底した分解清掃を行い、
電源部分の電解コンデンサが液漏れしていたので、念の為に全数の電解コンデンサを交換した。
当時は高集積なICも無く、トランジスタのディスクリート回路で大部分が構成されているため、
使われている電解コンデンサの数も中途半端じゃ無く、100個余りのコンデンサ交換となった。
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ケースカバーを開ける。 電源部とメイン部の2枚の基板とメカで構成 |
カセットメカ。 電磁プランジャーを使っているので動作音が大きい |
基板上の全ての電解コンデンサを新品に交換した。 |
取り外したコンデンサ。 一般:84個、無極:2個、オーディオ:16個 |
■メンテナンス内容
故障状況
- 再生・録音動作が開始直後すぐに停止する。
- 早送り・巻き戻し動作が開始直後すぐに停止する。
- 操作パネルの赤色LED(録音表示)が暗い。
原 因
- カセットメカ部にあるカセット装着センサーのスィッチ不良。スィッチの接点接触不良によりカセット未装着状態となり、送りモータが回転せずキャプスタンが回転しない。このためテープカウンターも回転せず、カウンター部にある回転検出センサーが、再生動作開始直後に回転停止を検出するため動作が停止する。カセット装着センサーのスィッチの接点を接点復活剤で清掃して復旧。
- 1. に同じ。カセット未装着状態であるため早送り・巻き戻し用のモーターが回転せず、テープの巻き取り、巻き戻しが行われず、テープカウンターが回転しないので直ちに停止する。
- 録音ボタンの赤色LEDの輝度低下(劣化?)。手持ちのジャンクパーツの赤色LEDと交換。
その他
- 筐体、基板、カセットメカの分解清掃
- 電解コンデンサ全数を新品に交換
- ヘッドの消磁とテープ走行部分の清掃
- このデッキもキャプスタンを駆動するゴムベルトは健全だったが、テープカウンターを駆動するゴムベルトに伸びが発生しており、時々カウンターが回転停止する。手持ちの予備ベルトに交換して復旧。