ONKYO MD/CDミニコンポ FR-V3の修理(その2) 2008.4.22

     ヤフーオークションでまたまた凝りもせずにFR-V3のジャンク品を手に入れた。出品物は、本体とスピーカーのセット品であった。

     現在、セカンドアンプとしてFR-V5(ジャンク修理品)を使っているが、これにはKENWOODのミニコンポのスピーカーを繋いでいる。これはこれで良い音がしているが、やはり、ONKYOのアンプには、ONKYOのスピーカーが似合う。スピーカーだけでも安く手に入ればいいと思い入札したら、あっさりと落札してしまった。

     出品時の説明書きは次のとおり。

     チューナーは使用できる
     CDトレイ開かない。以前、ベルト切れを交換。ベルト交換すれば使用可能かも。
     MDは電源を入れると排出動作?を繰り返す。配線を外す必要があるかも。
     修理して使う方、スピーカーを利用される方に。

     以下、修理の記録である。

    スピーカー
     スピーカーは、ネットに一部シミのような汚れがあったがそれ以外は全く問題なし。スピーカーボックスに擦り傷や当て傷も無い。スピーカーのコーン部分も正常だ。コーンに積もった埃をブラシで拭って清掃しておく。FR-V5のスピーカーをこれに繋ぎ替えて見る。音出しも正常だ。KENWOODからONKYOに変えたからといって、音質がそんなに変る訳では無いが、これはこれで目的達成。ネットのシミは台所用の中性洗剤で洗ったら綺麗に落ちてくれた。

    左:KENWOOD LS-SE5 30W 6Ω
    右:ONKYO D-V3 70W 6Ω
    ネットを外すとKENWOODの方が良く見える?

    本体外観
     一度分解された跡があり、内部にはうっすらと埃が積もっていた。底面にあるはずの足が4つとも見事に外されてしまっていた。完全に分解し、洗浄可能なパーツは全て中性洗剤で洗う。これで見違えるように綺麗になった。底面の足には、自動車模型のゴムタイヤを流用して取り付けて見た。オリジナルの足よりも、意外と制振効果がありそうな気がする。

    4本の足は模型のゴムタイヤで代用。
    緩衝効果はこちらの方が高い気がする。
    フロント側のタイヤ。
    リヤ側のタイヤ。

    チューナー等
     FM/AM、LINE-1/LINE-2/DIGITALの各入力、TAPEのIN/OUTも問題無く動作している。特にこの辺りは修理の必要は何も無い。清掃だけで十分だ。

    CDベルトの交換
     CDだが、こちらは本体を傾けると、ブラリというかんじでトレイが落ちて来た。 電源を入れた直後やCDを選択するとモーターの空回り音がするのでベルト切れに間違いない。果たして分解して見ると切れたゴムベルトがシャシーの下から出てきた。いつもの通りゴムシートから作成したベルトに交換して動作確認を行う。幸いな事にベルト交換のみで正常に動作するようになった。ピックアップの寿命切れを心配していたのだが大丈夫であった。念のためピックアップのレンズ周りを清掃しておく。CD部の修理はこれで完了だ。

    ゴムベルトが見当たらない。交換ベルトを作成して取り付けた。
    レンズが薄く雲っていたので洗浄しておく。

    MDの不具合動作の観察
     MDだが、出品時の商品説明にあったように、確かにおかしな動作をする。MDをまだ挿入していないのに電源を入れると、それからずっとガチャガチャとメカの動作音がする。入力ソースの選択ボタンでMDを選び、パネルの表示を良く観察して見る。

     「MD Reading」が暫く表示された後「Disk Error」が表示され、ガチャという動作音とともに「Disk Eject」の表示が出る。 その後、間髪を入れずに、もう一度ガチャという動作音がしたかと思うと「MD Reading」の表示が出て、 これまでの動作を延々と繰り返す。一体何が起こっているのか?

     MDメカの金属カバーを外してメカアッセンブリーの動きが良く見える状態にして動作確認を行う。メカの動きを良くみてみると、ガチャ、ガチャという音は、MDの取り込み、排出の動作音であった。

     試しに「Disk Eject」の表示が出た後、タイミングを見計らってMDを挿入して見ると、MDが取り込まれて、 「MD Reading」の表示の後、MDの曲数、演奏時間が表示された。 プレイボタンを押して見ると再生動作が始まった。 ジョグダイヤルで選曲を行うとピックアップが選曲位置に合わせて移動するのが観察出来る。 再生音も正常であった。どうやら再生に関しては、ピックアップのレーザー寿命はまだ大丈夫なようだ。

     MDを挿入している限り不具合現象は起きない。イジェクトボタンを押してMDを排出すると、 その後すぐにガチャとMD取り込みの動作が始まり、「MD Reading」の表示がでて不具合現象を繰り返す。

     さて、これらの事から推測される不具合の原因だが、MDメカアッセンブリーには、 MDの挿入・排出を検知するセンサー(マイクロスィッチ)がどこかに仕組まれているはずで、 このセンサーが多分壊れているものと思われる。スィッチの接触不良か、あるいはスィッチの接点融着かどちらかだろう。 想定される不具合事象のメカニズムはこうだ。

    MD不具合のメカニズム
     MDの挿入検知センサーが壊れ、MDが挿入されていないにも係わらず、 センサーは、MDが挿入されたということを示すために、メカを制御するマイコンは、 MDが挿入されたと思ってMDの取り込みを行う。その後、MDの読み込みを始めるのだが、MDが挿入されていないので、 当然 Disk Error となる。Disk Error を検出した時は、MDを排出するようにマイコンはプログラムされているので Disk Eject の動作を行う。この後、マイコンは、MD の挿入待ち状態となるが、 センサーは常にMDが挿入されたということを示すために、再度MDの取り込み動作を始め、 一連の動作を繰り返すという訳だ。MDを本当に挿入した時には、Diskの読み取りに成功するので、MDを挿入している限りは 正常に動作するということだ。

     さて、修理だが、メカアッセンブリーを取り替えれば簡単だが、アッセンブリーは決して安いものではない。 ネット通販でも5千円はする代物だ。なんとかマイクロスィッチ(センサー)を探し当ててスィッチ自体を 修理した方が安くて手っ取り早い。接触不良なら修理は簡単だ。

    MDメカの分解と調査・修理
     メカの分解に取り掛かる。力まかせにやると壊してしまう。容易に分解できる手順が必ず存在する。 まずはそれを探ることだ。表、裏、あらゆる角度からメカを観察する。試行錯誤しながらビスを緩めて行く。 マイコンが搭載されている制御基板とメカとを繋ぐリボンケーブルを慎重に取り外す。さらに分解を進めると、 センサーらしき黒いマイクロスィッチが4つ付いた小さな基板が現れた。その一つが無残に壊れている。 この壊れたスィッチの接点は常にオープン状態となっている。

    制御基板を取り外したMDメカユニット
    4つのマイクロスィッチがあった。
    一番右のスィッチがおかしい。
    壊れたスィッチを分解してみた。

     スィッチの取り付け位置とメカの摺動部分から判断するに、この壊れているスィッチが、 どうやらMDの挿入検知用のものと思われる。位置関係から、このスィッチは、MDが挿入されていない時に接点が 閉じていて、MDが挿入されると接点が開く仕様のようだ。壊れて常に接点がオープンになっているので、 マイコンは、MDが挿入されたと誤検出してしまうのだ。

     さて、このスィッチ、見るからに独特なものだ。スィッチだけの入手は困難だろう。 壊れたスィッチの部品でも残っていれば良かったのだが、メカ内部にそれらしきものは何も見当たらなかった。 代替のスィッチ機構を組み込むか、このスィッチ自体を修理するかどちらかだ。

     代替となるようなマイクロスィッチがどこかに無いか、手当たり次第に身の回りのジャンク品を分解して見た。 なかなかこれといったものは見つからない。そんな中、200万画素のデジカメも試しに分解してみたら同じスィッチが使われていた。遠景撮影と近接撮影の切り替えスィッチにこれと同じマイクロスィッチが使われていた。これを取り外してMDメカの壊れたスィッチと交換して見た。交換後の動作確認を行って見るとMDは問題無く動作する。これでMDの修理は完了だ。

    200万画素のデジカメを分解する。
    (fine pix 2300)
    まずは大きく2つに分解
    液晶部分を取り外すと下にスィッチがあった。
    このスィッチを取り外してMDに流用する。