久しぶりにハードオフに出向く。面白いジャンク品はないかと店内を探して回る。20年も前のアンプやデッキは古くて汚れが目立つ。こんなジャンクは修理の前の清掃が大変なので今日はパス。比較的新しくて綺麗なものを探し、見つけたジャンクが二つ。
■ DMD-F101の修理 .....修理不可 家に持ち帰りサクっと動作確認を行う。ディスプレー表示などは問題ないが、MDディスクを差し込むと中から2度ほどガチャガチャという音がして暫くすると「TOC Err R」の表示が出て、おもむろにディスクが吐き出される。 早速にカバーを開け、ピックアップメカを分解し、中の様子が見える状態にして再度動作確認を行う。 色々と試した結果、不具合は予想どおりにピックアップ不良であった。レーザー発光のきざしすら見えない。修理は諦め元に戻す。このデッキのケースを使った面白い電子工作を思い付くまでお蔵入りとした。 ■ DV-S155の修理 .....修理完了 1. 動作確認 .... やはり電源は入らない 次にDV-S155の動作確認を行う。電源ケーブルを電源コンセントに差し込み通電すると前面のスタンバイランプが赤く点灯した。次に電源ボタンを押してみると一瞬ランプが消灯するがまた点灯する。このプレーヤーは電源が入るとランプが消灯する仕様なので間違いなく電源が入らないといえる。何度繰り返しても同じで、ディスプレーには何も表示されない。 プレイボタンを押すと同様の症状を示す。他のボタンは押してもランプの変化は無い。プレイボタンは電源ボタンを兼ねているのでこのようになる。ボタンの操作はマイコンが検出しているのでここまでの動作確認でマイコンが死んでいないことは判った。ひとまず安心だ。 最近のオーディオ機器にはマイコンが搭載されており、ボタンの操作などはマイコンが常に監視している。このプレーヤーでは、電源ボタンが押されたことを検出するとマイコンは、スタンバイランプを消灯し、電源投入処理、搭載機器のセルフチェックと順番に実施するはずだ。症状から見るに、電源が入った直後にマイコンが何か不具合を検出し安全のために電源を切っているかのように見える。 2. 電源ユニットの調査 .... コンデンサの他には問題なし
P-ON端子とE+5V端子を1kΩの抵抗で接続し、+3.3VやSW+5Vを出力させてそれぞれの電圧をテスターで測定してみたが特に異常は見当たらない。 電源ユニットに特に回路上の不具合は発生していなさそうだ。ちなみに回路を追いかけて見ると次のようであった。 ユニット中央のトランスの2次側にある複数の巻線の一つから交流出力をダイオードで整流し、平滑用の電源コンデンサを通して メカ用のM+6Vが作られていた。もう一つの巻線からは、+3.3Vの元になる4Vの電圧が同じような回路で作られていた。 この2つの平滑用電解コンデンサの頭が膨れているのだ。 メカ用のM+6Vの電源からは、さらにダイオードで電圧をシャントしマイコン用のE+5Vが作られ、また4端子の電源レギュレータICを 通してSW+5Vが作られていた。4端子の出力制御端子は、P-ONに接続され、マイコンで出力制御されていた。 +3.3Vも同様に4端子レギュレータICを通して4Vから生成されていた。もちろん、こちらも出力制御端子はP-ONに繋がりマイコンで制御されている。 V+12Vや、-27Vなどは、別の巻線からディスクリート回路で作られていた。 3. マイコン基盤の調査 .... 別電源で動作良好
4. さて原因は? .... 電圧ドロップでマイコンがリセット ここまでの調査でふと思いついた。以前に KENWOODのミニコンポSE-7MDの修理をしたが、SE-7MDのCDプレーヤーである「DP-SE7」の不具合は、電源回路の電解コンデンサの容量低下により 演奏途中でマイコンがリセットして電源が切れてしまうというものであった。今回の不具合も正にこれと同じ症状だ。 先の調査で、マイコンの電源E+5Vは、SW+5Vの元の電源M+6Vから作られていることが判っている。電源ボタンが押されるとマイコンは、 P-ON端子にオンを出力(+5Vを引加)し、SW+5Vや+3.3Vを出力する。SW+5VがDVDプレーヤーの電子回路に供給された瞬間、インラッシュにより 電圧が一瞬低下するとマイコンがリセットして電源が切れた初期の状態に戻ってしまうのだ。 もちろん、このようなことが起こら無いように大容量の電解コンデンサでインラッシュによる電圧低下を防止しているのだが、 電解コンデンサの劣化が進み、徐々に容量が低下してくると、ある日突然にこのような状態に陥るということだ。 手元に6.3V2200uFの電解コンデンサがあったので、試しに劣化した2本の電解コンデンサをこちらに交換して動作確認してみたら、 何の問題もなく電源が入り、DVDディスクやCDディスクをすんなりと読み込み再生してくれた。ピックアップの劣化よりも先に電解コンデンサ が劣化したものと思われる。早速に10V1000uFの電解コンデンサ2本を購入し交換した。
修理完了後ネットでDV-S155の修理記録を検索してみたら同様の電解コンデンサ不良の 記録がたくさん見つかった。製造コストを切り詰めた結果だと思うが、最近のオーディオ装置の 寿命なんて数年あれば良いということなのだろうか。
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