DENON レシーバー・アンプ DRA-F101の修理(その2) 2008.06.16

     ヤフーオークションを眺めていて、次のような出品を見つけた。

      DENONのアンプ DRA-F101。
      チェックしましたら音量が上がりません。原因は不明です。
      ジャンク扱い補償なし。
     DRA-F101は、DENONのハイコンポ[ef]シリーズのレシーバーアンプだ。高品質部品を採用したディスクリート構成のアンプで、 ミニコンポよりも一クラス上の高品質の音色を聴かせてくれるアンプだ。

     この機種は以前にもジャンク品を入手したことがあるが、その時、入手したものは、全くの正常品であった。 この機種は電子ボリュームが採用されており、ボリュームつまみを大きく回転させないと音が出ない仕様となっている。 それを知らぬリサイクルショップが、故障品と勘違いしてジャンク品として出品したものであった。

     今回も同様の勘違い出品かも知れないと思い、若干の競り合いを経てこのアンプを落札した。

     商品が到着して動作確認を行って見ると、予想に反して、ボリュームつまみを右に左に、どちらに廻しても一向に反応しない。 ディスプレーに表示されるはずのボリュームの値が全く表示されず、スピーカーから出る音も一定のままで全然増減しない。今回は完全な故障品だ。

     さて、その原因だが、多分ボリュームにあると思われる。ボリューム中心の調査を行うことにする。

     早速にケースカバーを開け分解に取り掛かる。良い環境に設置されていたのだろう中は綺麗で埃は溜まっていなかった。 今回は清掃のための完全な分解は不要なようだ。ボリュームのある前面パネルのみ取り外す。

    アルミパネルにハーフミラーのディスプレーで高級感を漂わしている このアンプはPHONO入力もありレコードプレーヤーが接続できる。
    ケースカバーを外す。
    後方から内部を俯瞰。
    トロイダルコアのトランスに大きなヒートシンクが特徴的だ。

     ボリュームには3つの端子がある。GNDとVR-1、VR-2だ。ここで、VR-1、VR-2は、便宜上付けた端子名だ。ショートに気を付けながら、通電状態で、GNDとVR-1、GNDとVR-2、それぞれの電圧を測定する。VR-1に5V、VR-2には0Vが観測された。ここでつまみを少し廻して見ると、VR-1は0Vに、VR-2は1V弱を示した。更に廻して行くと、VR-1が5Vに、VR-2が0Vに変化し元に戻った。続けて廻して行くと、これらが繰り返し観測された。

     5Vは、マイコンの入力ピンからの電圧だ。マイコンに内臓されたプルアップ抵抗を通じて+5Vの電源電圧が観測されているもので、ボリューム内部では、接点がオフしているものと思われる。つまみを廻すと内部の接点がオンとなりGNDが接続され、電圧が0Vになるのだろう。

     もう一方の端子の電圧変化が+5Vでなく1V程度になるのは、接点が完全にオフ出来ていないことによるものと思われる。そこで、ボリュームを分解して見ることにした。

     綿棒の先で、接点部分に付着したグリースを拭き取って見る。本来透明なはずのグリースだが、綿棒の先には、灰色のグリースが付着した。灰色の正体は、接点摺動により削り取られた金属粉だ。

     接点が接触する部分を綺麗に掃除して、ボリュームを元に組立て直し、テストを再開する。今度は確実に反応した。右に廻すと音量が上がり、左に廻すと音量が下がる。ディスプレーの表示も完璧だ。修理完了である。

    前面の操作パネルを取り外す。
    通電での確認のためにビニールで短絡保護をする。
    問題のボリュームはこれだ。 ボリュームを分解して見る。
    接点とその接触する部分が汚れていた。
    ボリュームの接点の清掃をすると正しく反応するようになった。

     メーカー修理ならボリューム取替えとなるものであり、素人修理といえどもDENONのサービスからボリュームを取り寄せて交換するのが正しい修理なのだが、時間もかかるし面倒なのでこれで良しとする。次回不具合が発生した時、その時には、磨耗が進んでいるので交換が必要だ。このアンプ、2003年製である。わずか5年で不具合になるとは、以前の所有者は、さかんにボリュームを回転させていたのだろうか。

     さて、電子ボリュームの仕組みはこうだ。ボリュームの中には2つの接点が組み込まれており、右図のような配線となっている。 2つの接点の片側はGNDに、もう片方は、それぞれ、VR-1、VR-2に繋がっている。重要なのは、この2つの接点が、 つまみの回転に応じて、開いたり、閉じたりを繰り返すことだ。そして、2つの接点は、同時に開いたり、 閉じたりするのではなく、若干の位相ずれを持って動作することだ。

     今、VR-1もVR-2も閉じていて、ともに信号レベルが0とする。ここで、ボリュームつまみを少し右に回転させると、 VR-1が先に立ち上がり(信号レベルが1となる)、少し遅れてVR-2が立ち上がる。 逆に左に回転させた場合には、VR-2が先に立ち上がり、遅れてVR-1が立ち上がる。

     これら接点のオン・オフの変化をマイコンが検出してボリュームつまみの回転を検出するという訳だ。どちらの 接点が先にオン、あるいはオフするかによって右に廻したか、左に廻したか判定しているのだ。

     今回の不具合は、接点の摺動により磨耗発生した金属粉が、片側の接点に付着し、GNDとの間にある種の抵抗を 生じたために、接点が開いた時に完全にオープンとはならず、マイコンが、接点の開いたことを検出できなかった ことによるものだ。