DENON レシーバー・アンプ DRA-F101の修理 2006.02.12

     ジャンク品です。ヤフオクにて100円で落札。DRA-F101は、DENONのシステムオーディオ「D-F101」を構成するコンポーネントで、レシーバー・アンプとなります。

     出品はリサイクルショップからで、商品説明には、「電源は入りますが、出力しない為、ジャンク品です。修理可能な方、部品取りにとお考えの方、いかがですか。」と書かれてました。

     「D-F101」を構成するコンポーネントには、DRA-F101の他に、CDプレーヤーのDCD-F101、MDレコーダーのDMD-F101、カセットレコーダーのDRR-F101、スピーカーのSC-F101があり、オークションには、DCD-F101、DMD-F101が同時に出品されていました。この中でDRA-F101のみがジャンクでした。このため私以外に入札する人もなく出品価格の100円で落札できました。

     DRA-F101は、前面の操作パネルにアルミパネルを使い高級感を漂わせています。ディスプレィ部分はハーフミラー仕上げになっています。外観に問題は全然見られません。小傷もほとんどありません。各操作ボタンにも異常はありません。

     電源を入れ動作確認を始めます。出力しないということでしたので、まずはイヤフォーンを繋ぎ、音出しを確認します。

     通常、イヤフォーン出力はアンプ最終段から抵抗を通して接続されていますのでイヤフォーンで音が出ればアンプ回路は問題無いと言えます。高級アンプでは、ヘッドフォン用アンプ回路がメイン回路とは別に設けてある場合がありますが、このF101クラスのアンプではそういうことはまず無いだろうと思えます。

     FMアンテナ端子に、短い線材を簡易アンテナ代わりに繋いでテストして見ます。チューナーの動作は問題ありません。近くのKISS-FM局(89.9MHz)が自動でチューニングされました。ボリュームを適当に右に回していくとイヤフォーンから音が聴こえて来ます。どうやらアンプ回路は問題無いようです。

     この後、CDデッキを繋ぎ、CD入力、MD入力、TAPE入力と順次繋ぎ代えて、それぞれの端子からの音出しを確認しました。PHONE入力は、アナログプレーヤーを持っていませんので確認出来ません。次にスピーカーを繋いでの音出し確認に移ります。

     アンプのボリュームを0に絞っておいてから一旦電源を切り、スピーカーを接続して再度電源を投入します。FUNCTIONスィッチでCDを選択し、CDデッキでCDを再生しながら、ボリュームを恐る恐る右に回して行きます。表示パネルのボリュームの値を読みながらゆっくりと回します。

     スピーカーからは、なかなか音が出てきません。ボリュームをおよそ一回転ぐらい回したぐらいの所でやっと音が出て来たという感じです。ボリュームの値は20近いところです。通常のミニコンポなどではボリュームを20〜30度も回せば大きな音が出ますが、このアンプではもっと回さないと十分な音量にならないようです。取扱説明書では、ボリュームの値は、00から62までとのことです。この後、更に右に回してボリュームの値が40近くになると大きな音が出てくるようになりました。

     結局、このレシーバ・アンプは全く問題無いという事です。ジャンク品どころか全くの良品です。では、なぜジャンク品扱いになっていたのでしょうか? リサイクルショップが音出しの簡単なテストをした時、先に書いたようにミニコンポなどの感覚でボリュームを操作し、いつもは音が出るはずのボリューム位置で音が聴こえず、故障と思ったのでしょう。少しは出ていたかも知れませんが、事務所などの暗騒音がある所では、全く聴こえなかったと推測します。よって、これは故障している「出力しない」という判定を下したのでしょう。

     事務的に次から次と処理しているリサイクルショップでは、十分な動作確認の時間も取れず致しかたの無い結果だったと思えます。まぁ、そのためにこちらとしては良い物を安く手にいれることが出来たわけです。

     このアンプのケースにも排熱用の穴がたくさん開けてあります。外から見た感じではそんなに誇りが溜まっているようには見えませんが、向学のために分解して中を観察するとともに清掃を行うことにしました。

     ケースを開けて見ました。高音質設計を謳うだけに電源部分にはトロイダルコアトランスが使われています。
     チューナーはミツミのパーツです。パワーアンプには大きなアルミ放熱板が使われています。
     全てのパーツをシャーシーから取り外し、埃を拭き取りました。  電源回路が載ったメイン基板です。  パワーアンプ回路基板です。左右対称に部品が搭載されています。  パワーアンプ回路基板の裏側です。アンプ最終段はFETではなくトランジスタが使われていました。サンケンの2SB1383、2SD2083が使われているのが分かります。この2石は当然コンプリメンタリです。

     この後、分解清掃後の動作確認を行って作業終了です。今回も良いジャンク品が手に入りました。