2) 電源オン後、一度大きな音を出さないとスピーカーから音が出ない。 3) 「SET」、「TUNING(DOWN)」、「TITLE/CHARA」、「EDIT」のボタンが全く反応しない。 「FM/AM」ボタンでトーン調整の表示が出ることがある。 4) リモコンにまったく反応しない。 MD/CD、チューナー、USB、OPT-INなどは正常に機能している。不具合事象は、操作スィッチに集中している。経年劣化による不具合ばかりだ。
1点目のボリュームの不具合は、ボリュームの中の接点が汚れてきているのだろう。以前に修理した「DRA-F101」などと同じ症状だ。 ケースカバーを開けてみる。比較的綺麗だ。不具合箇所は、スピーカーリレーを除き、全て操作パネルに集中している。まずは、操作パネルを取り外し、パネル部分の不具合修理に取り掛かる。
ボリュームを分解し、接点周りを清掃する。タクトスィッチについては、細筆を使って接点復活剤(イソプロピルアルコール)をボタンの隙間から流し込み、復活材が蒸発するまでの間、グリグリして接点の汚れを落とした。念の為に、パネル上の全てのタクトスィッチについて行っておいた。 次に、リモコンの受信モジュールを調べる。モジュールの「電源」、「GND」、「信号出力」の各ピンに錆びが見られ、樹脂モールドにも金属性の錆びが付着している。良く観察すると、「GND」ピンと「信号出力」ピンが、この錆びで短絡状態になっている。これが、原因でリモコンに反応しなかったのだろう。樹脂モールドに付着している錆びを、カッタナイフで削り落としてみた。
以上で操作パネル部分の不具合箇所は修理できたはず。パネルを取り付けて動作確認を行って見る。ボリュームをつまみを早く廻しても確実に反応する。タクトスィッチについても問題は無くなった。リモコンのボタンを押すと、きちんと反応する。 次にスピーカーリレーの修理に取り掛かる。バックパネルを取り外す。スピーカーリレーは、バックパネルを取り外しただけでアクセス出来そうだ。リレーをアンプ基板から取り外し、接点を清掃する。リレーを取り付けなおして、動作確認を行って見る。音量が小さい状態であっても問題なく音が出る。
以上で、不具合箇所は全て修理完了。なお、本来であれば、ボリュームやタクトスィッチ、リモコン受信モジュールを新品と交換するのが正しい修理方法だが、なかなか個人の趣味の範疇では、交換部品を手に入れるのが困難だ。 デノンのサービスに申し込んでも、応対する担当者によっては、頑として「個人には部品を売れない」と受け付けてくれない。自己責任でされる分については、問題無い、と気軽に受け付けてくれる担当者もいるのだが。 さて、一通りの修理は完了したので、機能確認の動作試験を行って見た。MDの再生、CDの再生は問題無し。CDからMDへの録音を試してみた所、見た目の録音動作は全然問題ないのだが、録音後に再生を行って見ると全く再生が進まない。ディスプレーの演奏時間表示が0で止まったままだ。 一度イジェクトして、再度読み込みを行って見ると、「BLANK DISK」と表示する。何度か試してみた所、録音操作を行うと全て結果は「BLANK DISK」になってしまう。まるでMD消去装置のような振る舞いだ。 録音操作後MDディスクは相当に熱くなっている。再生は良好だし、録音時にこれだけ熱くなるのだから、レーザー発光には問題なさそうだ。この様子では、録音用の磁気ヘッドが不良かも知れない。仕方無くMDユニットを分解して見ることにする。
「D-MS3」を何台か修理して来たが、修理する度に構造設計のまずさを痛感する。MDユニットを外そうとすると一旦台座毎外す必要がある。というのも、台座金具の裏側からMDユニットがビス止めしてあるからだ。 「D-MS3」に使われているMDユニットは、分解が簡単だ。ユニットカバーを外し、現れた内部ユニットの奥側の丸いビスを2本緩めると、上部機構を簡単に外すことが出来る。たったこれだけで、ピックアップの交換やレンズの清掃が容易に行える状態となる。 ピックアップレンズは綺麗であったが若干の埃がかぶっていた。念のためにレンズの清掃を行っておく。磁気ヘッドのコイルが断線しているかも知れないと思い、テスターで導通を確認してみたが、テスターの表示は、数Ωの値を示した。特に問題無いようだ。ヘッド表面を軽く埃を拭う程度に清掃しておく。
一度、組み立て直して動作確認を行って見る。MDユニットのカバーを外したままでヘッドの動きを確認する。録音時の磁気ヘッドの動きは問題なさそうだ。 元に戻しケースカバーも取り付け、再度の録音確認を行って見る。CD一枚を録音した所、最初の数曲において、一部録音不安定な箇所が何箇所か見つかった。再度の録音テストを繰り返し、エージングを重ねると録音不良は起こらなくなった。 特にどこかが悪くて修理した訳ではないが、分解・清掃、エージングにより正常に録音出来るようになった。使わずにいると駄目になるということかも。 |