AVOX DVD/CDプレーヤー ADN-100Sの修理 2011.03.20


    「DVD再生しない」で210円のジャンク。

     YAMAHAのカセットデッキ 「k-1d」に実装されている dbx基盤を使って、単体のdbx装置を作ろうと考えた。装置の製作にあたって 他に必要なものは、電源回路、オーディオ入出力端子、PLAY/REC切り替え用のスィッチなど。それとこれらを収めるケースだ。

     そこで、ケースに流用出来そうなジャンク品はないものかとハードオフに探しに行った。そこで見つけたのが、 AVOXのDVD/CDプレーヤー「ADN-100S」。

     「DVD再生しない」のコメント付きで210円。良く眺めて見ると、スリムなケースで、前面パネルは樹脂製で穴あけ加工が容易、 さらに、背面パネルも取り外しが可能な構造。値段の方も文句の付け様が無く早速に購入した次第。


    ■ ADN-100Sの修理

     ケースを流用する目的で購入したものだから、DVDが再生出来なくても構わないのだが、一応、動作を確認して見ることにした。 電源を投入し、トレイの開閉ボタンを押してみるも、トレイは反応しない。ゴムベルトでも緩んでいるのだろうか。それにしても ローディングモーターの回転音が聴こえてこない。早速にケースカバーを開けて見る。

     プレーヤーメカと電源基盤とメイン回路基板のシンプルな構成。カバーを開けた状態で動作確認する。やはりプレーヤーのメカ部が 全然反応しない。ローディングモーターしかり、ピックアップ移動用のモーターも動かない。メイン回路に不良があるならお手上げだ。

     ふと、電源基盤の出力側の電解コンデンサを眺めて見ると、ひと月程前に修理したONKYOのDVD/CDプレーヤー 「DV-S155」の電源基盤と 同様に数本の電解コンデンサが膨張していた。膨張した電解コンデンサを正常品と交換すれば直るかもしれない。ただし、ピックアップが 弱っていれば、いくら電源回路を修理しても駄目なのだが。

     取りあえず、ジャンク品から取り外した正常な電解コンデンサと交換して様子を見ることにした。16V1000uFの電解コンデンサは、 手持ちに同容量のものが無かったので、代わりに16V2200uFの電解コンデンサに交換した。このコンデンサは30数年前のもので形状が馬鹿でかい。 技術進歩が良く判って面白い。

     取り外した電解コンデンサは、16V220uFx1、16V470uFx2、16V1000uFx1の4個。220uFのコンデンサはビニール被覆が熱で完全に収縮していた。 劣化具合を容量計で測定してみたら、220uFが31uFに、470uFが291uFと249uFに、1000uFは950uFに容量が低下していた。1000uFのコンデンサはそれ程でもないが 他のコンデンサは劣化が激しい。


    AVOXのDVD/CDプレーヤ。トレイが開かず、モーターの回転音も聴こえない。 カバーを開けて確認する。トレイの開閉用モーターは動いていない。 こちらがメイン基盤。この回路が不良ではお手上げだ。


    こちらは電源基盤。よく見ると電解コンデンサが膨張している。 電源基盤を取り外して良く確かめる。ビニールの被覆が収縮しているものもある。 ジャンクのオーディオ機器から取り外した電解コンデンサに交換。


    16V1000uFは、30数年前の16V2200uFのコンデンサに交換。古いものだけに形状は馬鹿でかくて基盤に納まらない。配線が必要。 予想どおり電源基盤を修理したら問題なく動作するようになった。ディスプレーもユニークだ。


     電解コンデンサを交換して動作確認を行うと、問題なく動くようになった。トレイの開閉もスムーズで、CDやDVDの読込再生はスムーズであった。 「DV-S155」と同様、こちらもピックアップのレーザー劣化よりも電源回路の電解コンデンサが先に寿命が尽きたということのようだ。

     これで動作するようになった訳だが、このプレーヤー、前面にあるボタンは、トレイの開閉の他には、プレイとストップとポーズしかなく、 リモコンが無いと選曲や飛び越しなどの操作が出来ず、最初から視聴することしか出来ない。これでは全く使い物にならない。予定どおりに分解して ケースを流用するつもりだ。

     ちなみにこのADN-100S (試用記)というプレーヤー、リージョンフリーに容易に変更できたり、 MPEG4やDivxが再生できたりとなかなかに面白いプレーヤーであったらしい。新品価格も一万円を切っていたとのこと。