タミヤ 1/35 M4A3 SHERMAN 戦車のラジコン化 2021.3.7

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    はじめに
    ラジコン化したタミヤ1/35M4A3シャーマン戦車です。

     タミヤのパットン戦車に続いて、同じくタミヤの1/35M4A3シャーマン戦車をラジコン化してみました。

     2004年にM1エイブラムスをラジコン化しましたが、こちらは、現在、搭載しているマイコンをグレードアップして更なる機能アップを行う計画をしています。それに伴い不要となるエイブラムスの無線送受信装置やマイコンを先取りして、シャーマン戦車のラジコン化を行いました。


    1.走行用モーター・ギヤボックスの組込

     このシャーマン戦車は、1/35スケールではありますが、中戦車のため車体のサイズは小さいです。FA-130サイズのモーターを左右2個、車体に組み込むことは容易ではありません。

     そこで今回は、タミヤのミニモーターを使ったギヤボックスを組み込むことにしました。

     起動輪が付くシャシー前部は狭くなっていますのでギヤボックスをそのまま取り付けることはできません。ボックスカバーの不要な部分を切り取ることでなんとか収めることができました。

    今回使うのはタミヤのミニモーターを使ったギヤボックスです。 そのまま組み立てたギヤボックスは収めることが出来ません。
    写真のようにギヤケースをカットします。


    車体前部の起動輪の所のパーツを切り取ります。 左右のギヤボックスを写真のように組み込みます。シャフトはこの後中央で切断し左右分離します。 モータの電極には、ノイズキラー用のコンデンサを半田付けしておきます。


    2.砲塔回転用サーボモータ・砲身上下用サーボモータの組込

     砲塔の回転、砲身の上下動のためにマイクロサーボを使いました。砲塔回転用には9gのサーボ、砲身上下には4.4gのサーボを使っています。

     砲塔回転用のマイクロサーボは360度回転には改造しないでそのままとしました。そのため砲塔の回転は左右90度ずつ180度の回転となります。

     砲塔の上下パーツはメンテナンスし易いように接着はしないでマグネット接続としました。

    マイクロサーボ9gを車体中央に設置。サーボホーンにピアノ線を立てました。 ピアノ線を挟むように砲塔下部パーツにプラ棒を接着します。 砲塔上部パーツ内部には、砲身上下用のマイクロサーボを取り付けました。細いリード線は砲身先端に組み込んだチップLEDへの配線です。 下部パーツに磁石を上部パーツに要らなくなった電池金具を取り付けてマグネット接続としました。


    3.サスペンションの可動化

     この戦車のサスペンションは、ロッカー・アーム式(垂直渦巻スプリング付き)です。タミヤのプラモデルでは、組み立て易くするためサスペンションを構成するパーツは一体成型となっています。

     そのため実車と同じような動きに改造するのは結構難しそうですが、こちらのYouTube動画(ちゃぶ台工房シャーマンの可動サスペンション)を参考に可動化に挑戦してみました。

     動画では、ドラゴン製を改造されていますが、こちらのものはタミヤ製です。果たしてうまく改造できるでしょうか。

    一体成型されたサスペンションパーツ アーム、アーム押さえ、ロッカーをバラバラに切り離します。 ロッカー内部のパーツは削り落とします。(上2つが加工前、下2つが加工後) ロッカーの前後にアーム取り付け用の穴を開けます。0.8mmのピアノ線でアームを取り付ける予定です。


    アームの取り付け部分を再現するために、アームにプラ板の小片を接着します。アーム押さえは左右のパーツをプラ板で連結します。 整形したアームとアーム押さえです。ピアノ線が通る穴を開けています。 整形したアーム、アーム押さえ、車輪を写真のように組み立てます。 ロッカー内部にパイプと丸棒を仕込みます。


    ノック式ボールペンから外したスプリングを中央に組込、アーム押さえを接着します。 プラ板部分を塗装し、車輪の付いたアームをロッカーにピアノ線で固定して完成です。 一体成型のものと変わらぬ見た目の可動サスペンションが出来上がりました。 シャーシに取り付けたサスペンションです。可動出来ているのが判ると思います。(クリックで動画)


    4.サウンドモジュール・LEDの組込

     エイブラムスから取り外したサウンドモジュールはそのままシャーマン戦車に搭載しました。またサウンドの機銃音に合わせて機銃先端が点滅するように車体上部裏側にオレンジ色のLEDを取り付けました。

     砲身先端には、赤色のチップLEDを組み込みました。主砲発射のサウンドはありませんので単に点灯、消灯するだけのものです。

    主砲の砲身先端に赤色のチップLEDを埋め込んでみました。 橙色のLEDを車体内に取り付けて機関銃の発射光を模擬しています。銃身は今後塗装します。 点灯・点滅の様子です。機銃音も鳴ります。(クリックで動画)


    5.塗 装

     戦車模型の塗装は、ほとんど経験がありません。2004年にエイブラムス戦車を適当に筆塗りで迷彩塗装をしましたがこの一台の塗装だけが唯一の経験です。

     その時は適当に塗っても案外それらしく見えていたので満足していましたが機会があればもっと良い塗装が出来ればと思っていました。

    エイブラムスの塗装(2004年)
    組立説明書の塗装指示を参考に迷彩塗装をしました。 足回りは少し汚しを入れています。 色の境目をぼかせば良かったのですがそんな塗装技術を持っていませんでした。

     そして迎えた今回、どのように塗装するのか経験不足を補うためにプロのノウハウを拝借することにしました。
     YuoTubeにある「タミヤ基礎からのプラモデル講座」(プロモデラー金子辰也さんの筆塗りテクニック講座)を参考に塗装してみました。

     動画では、ドイツ戦車のグレイ系の塗装の紹介になっていますが、今回のシャーマンではグリーン系の塗装となります。

     最初に動画のようにハルレッドで下地塗装をし、その上にオリーブドラブ、ダークグリーン、カーキドラブと順に重ね塗りをしていきました。ハイライト部分にはカーキを載せています。

    左正面
    右正面
    左側面

    車体前部。
    足回り(前)。履帯も下地にハルレッドを塗っています。 足回り(後)。履帯の金属感がうまく出たのではないでしょうか。

     木箱やスコップなど小物類の塗装の後、エンジンルームのハッチ部分にドライブラシでブラックを擦り付けました。最後に全体にブラックで墨入れをして完成です。

    砲塔上部。キットの鋳造表現のモールドの効果を塗装でさらに引き出せたのではないかと思います。 車体後部。エンジンルーム上部ハッチは黒でドライブラッシングしてみました。 ジェリカンを積んでみました。ロープはリード線で作っています。

    スコップなどの小物類も車体に接着したままハルレッドの下地から重ね塗りしています。 糸半田で作った牽引フックを付けてみました。 ハッチの取っ手部分は0.3mmの真鍮線で作っています。

     フィギュアの塗装は適当です。顔の部分をアップすると全然綺麗に塗れていませんが遠目でみるとらしく見えるので不思議なものです。(老眼で小さな物はよく見えなくて細かな塗装はまるでダメです。)

    ドライバー、顔の塗装はいまいちです。ハッチは可動で開閉が出来ます。 コマンダーの顔、こちらも塗装が下手くそですね。こちらのハッチも開閉できます。 砲塔キューポラ部分。下地のハルレッドの赤が錆のような感じを出しています。

     このキットは現在生産休止品となっています。今回はヤフオクで随分と古いものを手に入れましたがデカールが欠品していました。そこでデカールは保存しておいた自動車プラモ等の余ったものを適当に貼り付けてみました。 車体正面の星マークは、パットン戦車のものからの流用です。

    6.マイコン制御回路

     受信機モジュールとマイコン(PIC16F84A)はエイブラムスから取り外したものです。基板は新たに作り替えました。

     マイコンのファームウエアは砲塔の回転、砲身上下の制御部分を、それまでのDCモータの制御からサーボモーターの制御へと作り替えました。

     左右の走行用駆動モーターのドライバーは、それまでのTP7291PからTB6612FNGを使用したものに変更しています。
     TB6612FNGは1チップに2回路のドライバー回路が入っていますので省スペースに構成できます。

    単4電池を履帯の上の部分に搭載しました。 マイコン基板と無線受信機モジュールです。 今回使ったモータードライバーモジュールです。TB6612FNGが搭載されています。 ドライバーが2回路入っています。IN1,IN2の2ビットで、停止、前進、後退、ブレーキの4つの制御ができます。

     全体回路図とマイコン基板の部品配置図です。

    全体回路図
    マイコン基板部品実態配置図

     PICのファームウエアは、MPLAB IDE上で、MPASMを使って作成しました。
     作成したアセンブラソースコードは、rx.asmです。

     完成したラジコン戦車の可動の様子です。

    砲塔旋回がガクガクしています。ファームの見直しが必要です。(クリックで動画) 走行の様子です。サスペンションが効いているのが判るでしょうか。(クリックで動画)